<阪神5-2横浜>◇27日◇甲子園

 阪神がついに首位に浮上した。1点を追う4回、クレイグ・ブラゼル内野手(30)が31号ソロで同点。6回には、4番新井貴浩内野手(33)の勝ち越し適時打など4安打を集中して3点を追加し、横浜に完勝した。巨人が中日に敗れたため、5月2日以来の首位返り咲き。約1カ月前の最大5ゲーム差からジワリジワリと追撃。失速気味の宿敵を、球宴明けの後半戦の初戦で一気に抜き去った。

 阪神の86日ぶりの首位浮上に沸き立つ本拠地のお立ち台で、4番新井が誇らしげに叫んだ。「また誰かにお前のコメントはいつも一緒で面白くないと言われるかもしれませんが、とにかく必死に食らいついていきました」。名前を出すことはなかったが、いつもいじられ、兄貴分と慕っている金本をたっぷりと意識したユーモアを含んだコメント。4万3219人の観衆が勝利の興奮と余韻に浸る甲子園が、この日一番の歓声に包まれた。

 不動の4番は同点で迎えた6回1死二塁、チームを首位へと押し上げる決勝打を放った。横浜先発のランドルフに「何とか食らいついていこうと思っていた」。カウント1-2から3球ファウルで粘るなど、フルカウントで迎えた9球目。変化球をバットの先でとらえると、打球は左翼スレッジの前にポトリと落ちた。二塁走者の平野が生還したのを一塁ベース上で見届けると表情を変えず、ポンと手をたたいて喜んだ。

 4回に同点の31号ソロを放った5番ブラゼルは三飛に倒れたが、金本が二塁打で好機を広げた。迎えた2死二、三塁で、7番城島がランドルフの初球をたたくと、打球は広い二遊間を抜けた。三遊間を極端に狭くした横浜の守備隊形をあざ笑うかのような2点打に「打ったところに人がおらんかった。数々のサードゴロ、ショートゴロを打ってきた価値があった。これまでのゴロは無駄じゃなかった」と、おどけた。

 この回4安打で3得点。穴のない阪神打線には、1発攻勢を得意とする巨人とは違った勝負強さがある。真弓監督は「ホームランだけでは点が取れない。つないで点を取れるようになればいいゲームになる」と言い、勝敗を大きく左右したつなぎの攻撃を「新井のヒットから点が取れて、つないで追加点が取れたのが非常に大きかった」と満足げに振り返った。

 後半戦の初戦で首位に返り咲き、4試合残して7月の月間勝ち越しを決めた。真弓監督は「1位になったというより、明日、あさっての試合を取っていくことしか考えていない」と、冷静だが、優勝を意識するなというのは無理な話。2本塁打を放ち、本塁打王争いで巨人ラミレスに並んだブラゼルは、お立ち台で「オレは本塁打のタイトルよりも優勝リングが欲しいんだ」と叫び、新井は5年ぶりのリーグ優勝に向けて、「最後の最後、ゴールテープをみんなで切りたいです」と、力強く締めくくった。

 [2010年7月28日8時38分

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