<ヤクルト5-12阪神>◇29日◇神宮

 阪神マット・マートン外野手(28)が止まらない。右へ左へ4安打。うち3度ホームを踏んで快勝に貢献した。シーズン7度の4安打は球団新記録だ。今季165安打でリーグトップにも返り咲いた。

 「感触も調子もいいよ。チームのために打てたのがよかった。気持ちいいね」。神宮の虎党の心地良い歓声を受けながら、笑顔で汗をぬぐった。2日連続4安打という量産ぶりで、ヤクルト青木を安打数で一気に抜き去り、打率も3割3分9厘に引き上げた。

 2日前の初戦では屈辱の4打席4三振。そこで冷静になった。「打席でリラックスすることを心がけたんだ」。無意識に強く握っていたグリップをゆるめた。さらに不振時のクセである前かがみの構えも矯正した。「自分でも感じていたが、和田さん(打撃コーチ)にも言われたよ」。

 試合前には“刺激的”な出来事もあった。大の虎党の俳優渡辺謙(50)がベンチを訪れ、英語で激励された。「いつもフルパワーな君のプレースタイルが好きなんだ。オフにはスケジュール空けて待っているよ」。ハリウッドスターの食事のお誘いにマートンは喜びの笑みだ。

 1番打者の好調はそのままチームの勢いに直結する。「数字は気にしていない。毎日、チームに貢献するためにプレーしているだけさ。ホーム(甲子園)に帰れるし、早くたくさんのファンの前でプレーしたいね」。頼れるヒットメーカーが“打ち出の小づち”を担いで本拠に帰ってくる。

 [2010年8月30日11時17分

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