<阪神4-7ヤクルト>◇10日◇甲子園

 あちゃー、首位から落ちてもうた…。阪神がヤクルトにまさかの逆転負け。2回までに新井、マートンの適時打で2点を奪いながら、終盤に落とし穴が待っていた。好投していた久保を6回、81球で交代させて継投にスイッチ。ところが、延長12回総力ドローの前夜はゼロ封した福原、渡辺ら救援が踏ん張れず痛恨の敗戦だ。8月28日から守った首位の座を中日に明け渡した阪神。さあ、本当の勝負はこれからや!

 真弓明信監督(57)は腕組みしたまま、現実を受け止めた。13日間守ってきた首位からの陥落。それも逃げ切り態勢に入っての逆転負けだけに、ショックは大きかった。今季初めてといえる継投の大誤算。中盤までの歓声は一転、終盤の甲子園は残念無念のため息で染まった。

 リーグ最多タイの13勝目をかけ、先発久保は6回まで飯原のソロのみに抑えていた。1点リードで被安打4の81球。交代は100球がメドで、7回も続投と思われた。だがベンチの選択は継投。今季25試合、勝ち投手の権利を得ての降板では最も少ない球数だった。

 アクシデントか?

 その問いに監督は「大丈夫」と否定した。そして続けた。「あのへん(6回)で切ろうと思っていたから」。中4日や中5日で、次週14日からの横浜3連戦(横浜)に投入することをにらんだものなのか。ベンチとしては予定通りの継投だった。

 「今まで福原が良かったんでね」。監督はここ9試合で1度しか失点していない元守護神の好投を買い、セットアッパーを託した。だがいきなり畠山に同点ソロを被弾。「あれでリズムを壊してしまった」。指揮官の不安通り相川、宮本に連打を浴びて福原も降板。3番手久保田も川端に勝ち越しの左前打を浴びるなど、流れを止められなかった。久保は「(交代は)内容があまり良くなかったからでしょう」と自戒。久保投手コーチは「継投失敗は私の責任。失敗、失敗、大失敗です」と怒りを自分に向けた。

 理想は7回から福原、久保田、藤川とつなぐことだった。総力戦での延長12回ドロー翌日でも「久保田も球児もいけたんでね」と監督。裏目には出たが残り試合も見据え、最善を尽くした継投だ。監督は最後まで後悔を口にしなかった。「ちょっと痛いね」。坂井オーナーも胸の内をおもんばかった。「(継投は)意外や言うたら意外やけど(久保が)ちょっと危ない球も行ってたし用心したんかな」。

 そして首位陥落にも、虎の総帥は前向きに言った。「こっちの方が残り試合は多いわけやし、マラソンで言ったら給水に行ったようなもんですわ」。144試合を戦えば、こんな日もある。11日の結果次第では、首位奪回のチャンスも十分ある。決してうつむくことはない。

 [2010年9月11日11時5分

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