<中日1-6阪神>◇23日◇ナゴヤドーム

 マジック点灯はならなかった。本拠地での直接対決を2連勝した中日だったが、阪神の意地の前にストップを強いられた。先発吉見一起投手(26)の乱調につけ込まれて初回に2失点した。打線は能見に7回まで5安打1点に抑え込まれた。「勝てる要素なし!

 負けるべくして負けた」。落合博満監督(56)も潔く完敗を認めた。

 自力優勝消滅。逃げていった優勝マジックの代わりに、ショッキングな事実が残った。ただ、これは阪神の残り試合が7試合も多いことによるもの。25日の横浜戦(横浜)からの3試合に全勝すれば、阪神は残り10試合で1敗もできず、巨人は残り8試合で全勝しても届かない状況になる。25日勝って、阪神が敗れればマジック2が点灯し、最短で28日にも優勝が決まる。依然としてゴールへの最短距離にいることは間違いない。

 完敗こそしたが、優勝への執念を見せた。吉見が3四球で2死満塁とすると、落合監督は初回からマウンドへ行った。異例だった。選手も同じだ。0-3とリードされた6回には森野が主砲の意地を見せた。能見のフォークを完ぺきにとらえた。打球は右翼スタンドへ、美しい放物線を描いた。追撃の21号ソロ。それまで打線が苦しめられてきた相手のウイニングショットを打ち砕いた。敗れはしたが、やられっぱなしでは終わらなかった。

 「自力優勝消滅?

 それはみんな(報道陣)が考えること。僕らは勝つしかない。あと3試合だもん。やるしかない。(調子が)いいとか、悪いとか言ってられない」。森野はきっぱりと3戦全勝を宣言した。【鈴木忠平】

 [2010年9月24日8時40分

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