今季限りで引退する広島高橋建投手(41)が27日、マツダスタジアムで行われる引退試合(29日、横浜戦)に臨む思いを語った。試合終盤での起用が有力だが、高橋は「全部の球を必死で投げたい」と16年間の現役生活の思いを込め、万感のマウンドに立つ。

 2日後に引退試合を控えたこの日、高橋はマツダスタジアムでの1軍練習に合流した。キャッチボールなどで汗を流し、ブルペンにも入った。“その日”が近づく心境を問われると「今は特に何もないですね。当日、どんな気持ちになるのか…寂しさが増すのかどうか」と苦笑いした。

 この日、大野ヘッド兼投手コーチと話し合い、試合終盤でのリリーフでラスト登板することも決まった。「おそらく打者1人なると思いますが、大野さんに、おっ、もっと行けるなと言ってもらえるような投球ができればいいですね。とにかく、キャッチャーミットめがけてすべての球を必死で投げたい」と全力投球での完全燃焼を誓った。

 引退試合が横浜戦となったのは、因縁なのかもしれない。高橋がプロ初登板を果たした95年4月8日も、相手は横浜だった。プロ生活最初と最後を、同じ相手で終えることになる。初登板でプロ初奪三振を記録したが、そのときの打者が、今季横浜から戦力外通告を受けた佐伯だった。高橋は「佐伯くんは初三振を取った相手ですが、僕の中ではよく打たれて痛い目に遭った打者という印象が強いですね」と振り返る。ほかにも横浜高の後輩石川らかかわりのある選手がおり、有終の美を飾るには格好の相手だ。

 試合前には、始球式を愛娘の優さん(16)と舞さん(14)が務める予定。引退表明後、ファンから激励の手紙も受け取った。さまざまな思いをかみしめながら、高橋がラストマウンドに立つ。【高垣誠】

 [2010年9月28日10時49分

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