虎の快足クインテットだ。赤星クラスのスピードスター5人衆が来季へ希望の輝きを放った。安芸秋季キャンプ。ウオーミングアップ直後に行われたタイム走で、俊足自慢たちの「足」がうなった。二盗のタイム計測。俊足の目安とされる3・3秒台を大和、藤川俊、田上、柴田がマークした。
記録ラッシュの中、一番の盛り上がりは上本博紀内野手(24)の2度目のチャレンジだ。「3・29!!」。伊藤トレーニングコーチの声が球場に響くと、スタンドからも歓声がわいた。
真弓監督
今年もいいところで走ってくれた。大和と同じレベルで行けるんじゃないか。
かつて野村克也監督が俊足の7人を「F1セブン」と命名して売り出したが、その1人だった赤星憲広氏(野球評論家)の現役時のタイムが3・26。盗塁王を5回獲得した先輩に、0・03秒に迫る好記録だった。上本は2年目の今季、1軍初出場すると、2試合目には初盗塁、初得点をマークしお立ち台にも立った。
上本
タイムより(大事なのは)スタートなので。0・1でも0・01でも縮められるようにしたい。
一、三塁間では、大和が意地を見せた。チームでただ1人、7秒をきって6・99。スピードに加え、走塁技術の高さを見せつけた。
今季のチーム盗塁数は71個と、前年からは8個減少。今キャンプでも、機動力向上が1つのテーマとなっている。
F1セブンから時代は移り、新たな韋駄天(いだてん)5人衆が台頭の気配を漂わせている。盗塁の一芸を武器に持った若虎たちが、1軍の舞台でダイヤモンドを駆け回る。
[2010年11月14日11時48分
紙面から]ソーシャルブックマーク