星野仙一監督(64)を迎えた楽天の沖縄・久米島キャンプ初日は、全選手がフルメニューをこなす濃密な滑り出しになった。投手全員がブルペン入りし、松井稼頭央内野手(35)岩村明憲内野手(31)のメジャー帰りコンビはフリー打撃で柵越えを放った。星野監督は「ビックリした。すぐゲームができる。張り切りすぎが心配だ」と仰天。闘将がムチをたたかず手綱を引くほど、新生イーグルスが“前がかり”のスタートを切った。

 星野監督がにらみを利かせるブルペンで、眼下の捕手が次々腰を下ろした。松井稼と岩村が打席に入って、おもむろに目慣らしを始めた。投手陣は全力の直球を外角低めに集め、かつ変化球も制球した。「秋に『今以上の状態で2月1日に会おう』とは言ったけど…。しっかり守ってきてくれて。うれしい」。下ブレのない投手たちの仕上がりで、田中の入った最終組を見届ける必要がなくなった。

 「いい打球音が聞こえた」とグラウンドに移ると、メジャー組が主役を張っていた。昨年までより3週間も調整が早いにもかかわらず、2人とも右翼に柵越えを放った。左打席の松井稼は打席内で半足、前に移動しながら大きく振っていた。「昔、西武時代にやったことはあった。重心を後ろに残しすぎているんじゃないかと」。8年ぶりの日本球界でも、飽くなき探求心に変わりはなし。「懐かしさ全開」の岩村も「もう4時なのに練習をしていることが違う。日本の文化の良さを思い出し、集中してやっていく」と悠々と楽天初日をクリアした。

 首脳陣に「ヘトヘトになるまで選手を鍛えてくれ」と指示を出していた。ぬるい空気を一掃するつもりだったが「私が言わなくても分かる。作ってくれている。張り切りすぎが心配だ」と言った。星野監督には腹案がある。先発投手を中5日で回す。中6日ローテが主流の現在にあって、力あるスターターにフル稼働を求める。フル稼働を求めるのはメジャー組も同じ。「私もゲームを楽しむ。楽しみにしてください」。初日を終え、青写真を形にしていくイメージはできた。

 クリムゾンレッドの「77」を披露し「赤は好きな色。格別な思いがある」。闘将を驚かせた選手たちと一丸になって、レッドゾーンに入った。【宮下敬至】

 [2011年2月2日9時9分

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