佑ちゃんに負けじと「持ってる男」!
阪神ドラフト1位の榎田大樹投手(24=東京ガス)が13日、11年チーム初実戦となる練習試合ヤクルト戦(宜野座)で実戦デビューした。中継ぎで1回を投げ、無安打1四球無失点。痛烈な当たりが併殺打になるなどの幸運も味方につけ、また開幕ローテ入りに近づくゼロ封発進だ。
毎日まじめにコツコツ努力すれば、必ず報われる。痛烈なライナーが右翼前方にはじかれる。一塁走者はスタート。ピンチ拡大?
いや、その逆だ。右翼浅井が猛チャージをかけてキャッチ。そのまま一塁送球して、併殺が完成した。照れ笑いした虎のドラ1は幸運を「持っている」。
榎田
緊張していて、あっという間の投球だった。今日は30点です。0点に抑えられたけど、向こうのミスがあってのたまたま。今日はどの球もダメだった。
猛省の虎デビュー戦も結果はゼロ封だ。3回に登板。先頭の8番中村を内角直球で左飛に打ち取る。9番川島慶は四球で歩かせたが、1番飯原を迎えた1死一塁の場面、新人らしからぬ度胸を見せつけた。
投球前、いきなり一塁へ素早いけん制球。ギリギリのタイミングに球場が沸く。1球ファウルをはさんで再びけん制。ボールをはさんで、またけん制球だ。カウント2-2からは、ノーステップ気味のけん制球には観客も目を丸くした。
榎田
左投手なので、ある程度は(けん制球も)武器にしないと。バリエーションはあんなもんですが。
4球のけん制球で驚かせ、最後は右直で併殺打。たとえ調子が悪くても、たっぷり見せ場を作った。
野球の神様は日ごろの姿勢をチェックしているのだろう。東京ガス時代は午前中に通常業務をこなし、午後は練習に励む毎日。インカムをつけ、オペレーター業務に就いていた。次から次へと電話がかかり、苦情を受け付ける。まじめ過ぎて失敗したこともある。「お客様」の問いかけに真剣に対応していたある時、激怒されたことがあった。
榎田
ずっと、きちんとした丁寧語で話していたら、「オレのことをバカにしてんのか!」と逆に怒鳴られてしまって…。
どこまでもまじめ。だから運も味方する。これで昨年10月のドラフト指名後、広州アジア大会などの実戦で17回連続無失点。ゼロ行進を続けている。
榎田
1つ1つの試合でアピールしないと生き残れない。相手うんぬんより自分の投球です。
夕方5時、球場出発時もファンに向けて、何十枚ものサインに丁寧に応じた。とにかく愚直に日々を過ごし、今や開幕ローテの有力候補。まじめにコツコツ、「開幕1軍」まで突き進む。
[2011年2月14日12時20分
紙面から]ソーシャルブックマーク