ソフトバンク川崎宗則内野手(29)が20日、初のシーズンフルイニング出場に向け、オープン戦全17戦にフル出場する覚悟を示した。師と仰ぐマリナーズ・イチロー外野手(37)のキャンプインに合わせるように、フル回転を宣言した。昨年11月に手術した右肘は順調に回復。今オフ海外FA権を取得見込みだが、まずは日本一に突き進む。

 キャンプ最後の日曜日に鷹の元気印、川崎のテンションは最高潮に上がった。練習中に絶えず飛んだ「ムネリ~ン」の声援に呼応するように、超ハードメニューだ。全体練習でフリー打撃や走塁練習を行ったかと思えば、続けざまにサブグラウンドで鳥越内野守備走塁コーチとの約40分の特守を敢行。汗を一拭きすると、今度はバットを片手に室内練習場へ。仕上げは下半身強化の走塁練習。軽めメニューのため大半の選手が球場を引き揚げた午後3時過ぎ。ファンにサインを書き込むと、ビッグプランへの闘志を言葉にした。

 川崎

 オープン戦はできる限り全部出ますよ。試合に出て調整しないといけないでしょ。

 不動のレギュラーが、26日から17試合組まれているオープン戦での全戦出場を明言。それも、フルイニングを視野に入れているというのだ。実は首脳陣の中でも、川崎を全17戦で先発出場させる案がある。今宮ら若手選手にチャンスを与えるチーム事情で、実現するかは微妙だが、川崎の思いはシーズンへの「準備」に万全を期すことにある。

 川崎

 (シーズンでも)フルイニングを目指すというわけではないけれど、その試合、その試合にベストを尽くす。僕はそのための準備をする。試合に出て元気な姿を見せる。

 昨年も含めて過去2度、全試合に出場したが、全イニングは未経験だ。決してフルイニングに固執してはいないが、快挙への「準備」を進めるのがプロと言わんばかり。海の向こうの師匠から教わった「準備」の大切さは誰よりも身に染み込んでいる。

 マリナーズ・イチロー外野手がくしくもこの日、キャンプイン。今年は自身が右肘手術明けでリハビリ中だったため、恒例の合同自主トレをキャンセル。それでも間近で何事にも準備の大切さを学び続けてきた弟子のポリシーが揺らぐことはなかった。

 ウオームアップ中には藤井打撃コーチから勧められた小さなリングを両手でつかんでいる。体のバランスが保たれ、体調管理に効果があると言われる。小さな配慮も欠かさない川崎の象徴的なシーンでもある。

 順調にいけば今年6月1日に海外FA権を取得する。今季は国内ラストイヤーになる可能性がある。節目シーズンでのフルイニング出場-。川崎から一瞬も目が離せない。【松井周治】

 [2011年2月21日10時52分

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