22日の紅白戦で二塁ベース上を襲った伊志嶺の痛烈な打球。ロッテ荻野貴司内野手(25)は、右足をためらいなく蹴り出し、ボールへと飛び込んだ。「体が自然と動いてくれた」。遊撃の守備位置で初めて見せたダイビングキャッチ。素早く起き上がると、力強い送球で俊足のルーキーを一塁でアウトにしてみせた。

 この石垣キャンプ、自らの右足と闘ってきた。昨年5月に右膝半月板を損傷。回復を感じてはいたが、内心では怖さが抜けなかった。シートノックや紅白戦で送球がばらついたり、球際の弱さが目についていたのは、すべては「右足を踏ん張り切れていない」(上川内野守備走塁コーチ)という理由だった。だからこそ、右足で踏み切ったことは価値がある。これまで使い切れていなかった右足が生み出した1つのプレーが、自信を呼び戻した。「膝の状態は良くなっている。ほぼ全力でいけるぐらいですよ」。自主トレからキャンプを通じて「8割程度」で停滞していた針が、ファインプレーをきっかけに大きく進んだ。

 1回には9カ月ぶりの盗塁も記録し、7回の第3打席では紅白戦15打席目で初安打も飛び出した。「ようやくここまできたかなという感じです」。遊撃の定位置奪取に、大きな1歩を踏み出した1日となった。【鈴木良一】

 [2011年2月23日7時34分

 紙面から]ソーシャルブックマーク