日本ハム栗山英樹監督(50)が佑ちゃんに対して厳しい姿勢を打ち出した。1日、沖縄・名護キャンプで背番号80のユニホーム姿をお披露目し、精力的にグラウンドを動き回った。初日からブルペンに入って猛アピールした斎藤佑樹投手(23)について「僕はあんまり褒めたくない」と辛口。わが子を谷に突き落とすライオンのように、期待の右腕に試練を与えた。

 指揮官として初日を迎えた栗山監督は、すべての選手のもとに足を運び、動きを自らの目でチェックした。「みんな状態がいいですよね。うれしいです。(監督交代で)体制が変わるとチャンスが生まれる。いい方向にスタートできているなあと思います」。栗山スマイル全開で、手応えを示した。

 しかし、「斎藤」という一言で表情が変化した。2年目を迎える期待の右腕は、ブルペンで31球を投げ込んだ。充実のオフをアピールするかのように、すべて直球で捕手のミットをうならせた。「今年はちょっといけるかなあと思いました。キャッチャーまでのラインが見えますね」。本人は納得顔で初日を振り返っていたのだが…。

 栗山監督は「僕は公式戦でどれくらいの球が投げられるかを求めている。(この日の評価は)吉井コーチに聞いてください。僕はあんまり褒めたくない」と厳しかった。さらに、初日からブルペン入りしたことについても「当たり前。自分が求められているものを考えて、やらなきゃいけない。高いレベルを求めているのでね。(この日ブルペンに)入らなかったら、“さようなら”というくらいだった」と、厳しい言葉を並べた。

 もちろん、それだけ期待が高いことの裏返し。「今年はやるんだというものはしぐさで感じた」と、胸の内では評価している。「何げなく『頑張ろうね』って声を掛けるのが、いいときもあれば悪いときもある。自主トレの疲れが残っていれば、頑張ってしまってケガをすることもある」。ただやみくもに激励することが、プラスになるとは限らない。同様に、開幕投手候補として期待する斎藤だからこそ、厳しい態度で手綱を締めたのだ。

 監督デビューを「戸惑いました。50点くらい」と控えめに自己採点した栗山監督だが、前任の梨田監督が褒めることが多かった斎藤への“トゲ”は、新鮮に映った。【本間翼】