巨人が、結果にこだわるサバイバルキャンプを実施する。13日、宮崎から沖縄へ、チームを率いて移動した原辰徳監督(54)は、宿泊先のホテルに成績表を張り出し、選手に競争意識を持たせる狙いを披露した。今日14日の紅白戦から、練習試合、オープン戦と続く、激しい生存競争がスタートする。

 成績表が張り出される。学校の中間テストや期末テストの話ではない。巨人の選手たちの話だ。原監督がおもむろに口を開いた。「野手全員の紅白戦、練習試合、オープン戦の成績表を張り出そうと思っている」。宿泊ホテルの選手専用フロアのエレベーター前。そこにあるホワイトボードに打撃成績がずらりと並べられる。

 狙いは意識させることにある。大田には打率3割、松本には出塁率3割5分などと期待する目標を定めている。その中で他の選手との競争意識も明確に持たせたい。「WBCのメンバーはいないものと思ってやっていく。このメンバーで今年の巨人は戦う」と沖縄のファンに向けてあいさつした原監督の真意は、厳しい競争の中、短期間での急成長を期待するものだ。

 実際、16日の紅白戦後には現在20人の野手を18人に減らす。また「健康だったら、23日にはガッツ(小笠原)と谷には沖縄に来てもらう約束になっている」と言い、さらに2人が減らされる計算だ。またWBC組で代表から外れる選手が出た場合も、入れ替えは必至。この日、沖縄でキャンプを始めたメンバーは、お尻に火がついた状態も同然と言える。

 ドラフト2位で入団し、沖縄キャンプ1軍入りを果たした大累は「えっ、最初の2試合でですか。いつもそうなんですか」と驚きながらも「最初から、自分の持ち味をアピールしていきたい」と口元を引き締めた。今日の紅白戦からは、11日には禁止されていた盗塁も解禁される。50メートル5秒6の足で、生き残りに向けて必死に走るつもりだ。

 原監督もすべてを見逃さない。一塁側ベンチの最前列にはイスを置ける人工芝のスペースが新たにつくられた。昨年までは、後ろに寄りかかると約50センチの段差を転げ落ちてしまう心配があり、ひもでイスを固定して座っていた。その危険もなくなった。「原ターフ」と呼ばれる特等席で、選手たちの成長を見守る。【竹内智信】