腰痛に苦しむ楽天星野仙一監督(67)がシーズン中の手術に踏み切る可能性が27日、高まった。球団が診察結果を発表。前日26日に都内の病院で、腰椎椎間板ヘルニア及び胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症と診断され、休養を続けることになった。ヘルニアは複数箇所で発症。黄色靱帯骨化症は、厚労省指定の難病でもある。復帰時期は未定で、当面は佐藤義則投手コーチ(59)が監督代行を務める。

 ヤクルト戦の休養から一夜明けたこの日も、星野監督は都内宿舎で静養に努めた。ゆっくりとではあるが、自力で歩行した。ただ「歯の痛みがあるだろう。あれが太い感じ。俺は痛みには強い。でも、ケガの痛みならいいが、神経の痛みはな。足首までしびれる」と苦しみの一端を明かした。

 星野監督を襲った病気は、国指定の難病だった。球団発表によると、26日の診察で、椎間板ヘルニアに加え、黄色靱帯骨化症が判明した。前日に続き、立花球団社長が今後の対応を星野監督と協議した。シーズン中の手術に踏み切るのか、同社長は「(手術を)しないと、そんなにすぐ状態が良くなる話ではないと、僕は認識しています。ただ、決断するのはお医者さんと当人。決断は、ご本人にお任せします」と、監督の意向を尊重する方針を示した。

 この日の時点で、星野監督は「迷っている」と結論を出さなかった。手術なら、リハビリ期間を含め長期にチームを離れることになるからだ。それでも、手術に踏み切る可能性は高まっている。「選手に、あんな(弱った)姿を見せてはいけない。(痛みが)もう、ごまかしが利かなくなっている。このまま放っておくと、どうなるかの結末を聞くとね」と明かした。痛み止めの注射や薬での対応だけでは、限界に来ている。

 前日26日は、神宮球場のクラブハウスで三木谷オーナーとも話し合った。「『絶対に復帰してください。負けが込んでもいいですから』と。負けが込んでは余計だけどな!」と笑い飛ばしつつ「去年(日本一で)良い思いをさせてもらった人に、そう言われたらな」と、しんみりと言った。離脱に「申し訳ない」との言葉を繰り返し、最後は「俺は絶対、復帰するつもり。復帰してやる。見とけ」と自らを奮い立たせるように言った。【古川真弥】

 ◆星野監督の体調不良

 選手時代は76年6月の大洋戦で右太ももを肉離れ。軍人が使用するゲートルを巻いて練習を再開した。中日監督就任前の86年には飛行機到着時に棚から落下した荷物が頭部を直撃。中日監督の87年には乗車していた車がトラックに追突され、頸椎(けいつい)を挫傷。阪神監督の02年開幕戦では不整脈によりベンチ裏で応急処置。03年7月27日中日戦では血圧が165まで上がり、嘔吐(おうと)した。阪神SDを務めた04年11月には急性虫垂炎で入院。日本代表監督の08年7月には視察先のオランダで右肋骨(ろっこつ)を鉄柵に強打し3本骨折したが、翌月の北京五輪で指揮を執った。

 ◆黄色靱帯骨化症

 原因不明の国指定の難病で、背骨に沿った靱帯が骨化し、脊髄を圧迫する。巨人越智は「ひざから下がしびれて、まひ状態に近い」と症状を明かしたことがある。厚労省によると、12年度末の時点で医療費補助を受けていた人は2360人。プロ野球ではオリックス酒井、宮本、ソフトバンク大隣ら、いずれも投手が手術を受けている。