<日本ハム2-4ソフトバンク>◇12日◇札幌ドーム

 後半戦のローテーション入りへ、猛アピールした。日本ハム斎藤佑樹投手(26)が、約3カ月ぶりの1軍登板で12球団トップのチーム打率を誇るソフトバンクを5回4安打1失点。1点リードの7回に救援陣が逆転され、12年6月6日広島戦(札幌ドーム)以来766日ぶりの勝利は逃したが、超満員の札幌ドームで復活の予感漂う、力投を見せた。

 手応えがあるから、悔しさがこみ上げた。今の「斎藤佑樹」を出し尽くした5回78球。「今日は、たまたま5回1失点。僕の中では、まだまだ…」。失点は内川に許した11号ソロのみ。前夜、19安打12得点の強力打線に真っ向勝負した。結果は出したが、白星には恵まれなかった。チームも逆転負け。「勝てなかったことは悔しいです」と笑顔はなかった。

 約3カ月ぶりの1軍登板。超満員のスタンド。「初回は緊張しました」。珍しく高ぶる中で、2軍で試行錯誤した秘策が効果を発揮した。プレートの立ち位置。今季から右打者には三塁側に、左打者には昨季までと同じように真ん中に立った。「内角を攻めるため」と取り組み、好感触を得ていた。4回は失点後の2死一、二塁のピンチで左打席に明石。プレートの真ん中から徹底して内角を突いて空振り三振に打ち取った。

 苦悩の日々だった。開幕ローテに入ったが4月11日に降格。2軍戦でも結果が出ず思い悩んだ。4月25日、晴天の2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷でふとつぶやいた。「こんなに天気がいいと、なんでここで野球をやっているんだろうって思っちゃうんですよね」。

 完全復活へ強い決意を込めて臨んだ4年目シーズン。1軍でバンバン投げる姿を想像していた。右肩関節唇損傷で投げられない苦しみとは違う、本当の苦しさ。2軍戦では結果を求めるあまり、変化球に頼ることが多かった。田之上、加藤両2軍投手コーチから叱責(しっせき)されることもあったという。「一気に階段を上がってきたわけではないので」。時には早大時代の盟友、西武大石と食事に行って気晴らしすることもあった。リハビリと同じように、自分の投球も地道に見直した。

 上々の再出発で、後半戦の先発ローテ入りの可能性も広がった。栗山監督も「勝たせてあげたかった。あいつが頑張ったら、こうやって投げられる感じがあった」と評価した力投。「今日みたいな投球をしていれば、いずれ勝ちは付いてくる」(斎藤)。また1つ、完全復活への階段を上がった。【木下大輔】