<東都大学野球:亜大5-2国学院大>◇第3週最終日◇25日◇神宮

 侍の血を引く9番打者が、「戦国東都」の首位打者に躍り出た。亜大・長曽我部(ちょうそかべ)竜也内野手(3年=新田)が、国学院大戦で2安打を放ち、通算13打数7安打の5割3分8厘とした。戦国武将、長宗我部元親の末裔(まつえい)で、勝負強さは折り紙付き。亜大は、連勝で勝ち点2とした。

 「侍ジャパン」もびっくりな、“リアル侍”が春の東都を熱くした。9番長曽我部が、2回1死から国学院大のドラフト1位候補・杉浦の139キロ直球を左前に運ぶ。4回は2死からしぶとく食らい付き、二塁内野安打で出塁した。これで今季は全5試合連続安打。一気にリーディングヒッターに躍り出た。

 歴史好きにはたまらない響きの「ちょうそかべ」。戦国時代、土佐統一を皮切りに、四国を制圧したとされる武将、長宗我部元親の末裔だ。「父からは、侍の血が流れているので、そういう気持ちでやれと言われています」と気合十分。正確な家系図はなく、「何代目とかは分かりません」と言うが、愛媛・松山の実家には名家の家紋が残されている。グラブには「長曽我部家」と家紋を刺しゅうし、負けられない戦に挑んでいる。

 昨秋リーグ戦は途中出場1試合だけだったが、4季連続優勝を目指すチームで、遊撃の定位置を勝ち取った。「何とか塁に出ようと、必死に食らいついています」と言う。かつてはテレビゲーム「信長の野望」で天下統一に挑み、今は野球で日本一を目指す。「末裔なので、恥はかけないと思ってます。亜細亜はきれいな野球はいらない。泥臭くてもいい」。戦うDNAなら誰にも負けない。恐怖の9番が、チームに欠かせない戦力になっている。【前田祐輔】

 ◆長曽我部竜也(ちょうそかべ・たつや)1992年(平4)7月19日、愛媛・松山市生まれ。新田高(愛媛)では3年夏に県大会4強。今季は5試合13打数7安打4打点で失策0。家族は両親、兄。170センチ、62キロ。右投げ左打ち。

 ◆長宗我部

 戦国時代に土佐国(高知)を統一した日本の武家。第21代長宗我部元親の時代に最盛期を迎える。1539年に生まれた元親は、土佐を統一後、織田信長と同盟を結び、阿波、讃岐、伊予に侵攻。1585年に四国全土を統一したとされる(完全に統一はしていないという説もある)。勇猛な武将で数々の戦果を挙げたが、最後は豊臣秀吉に降伏した。