18日にプリズムホール(東京ドームシティ内)で行われた「BREAKING DOWN(ブレイキングダウン)11」を取材した。第7試合(バンタム級ワンマッチ)で咲人とレオが対戦。ノーコンテストでドローとなった。
1Rはジャッジ5人全員がドローと判定して延長に突入。延長では、咲人がカウンターの右ストレートを当ててレオをぐらつかせ、試合を有利に進めた。
その後、レオのローブローで咲人がもん絶して中断。試合が再開された後、両者がもつれた際に、レオの右前腕部が咲人の喉元に入るような形で2人が倒れ、そのままマットに後頭部を強打して咲人は失神した。試合続行不可能で、レフェリーがノーコンテストでのドローを宣言した。
この時レオは、自分がローブローを行ったにもかかわらず、うずくまる咲人を挑発。もつれて倒れた際にも、気を失った咲人に対して罵声を浴びせた。さらに、担架に乗せられて退場する咲人に向かって中指を立てるという、あまり頭が良いとは言えない行動に出た。
大会終了後、ブレイキングダウンの溝口勇児COOが、レオを叱り飛ばす動画がSNSにアップされた。同COOはレオが中指を立てたことについて「相手、失神してんだぞ。あれはちげぇだろ。いくらいがみ合っていても、相手、失神してんだぞ。そりゃないだろ」などと叱責(しっせき)。これにはレオも言い返す言葉がなかった。
ただ、筆者が思ったのは、怒るタイミングが違うのでは、ということだ。レオは前日17日に都内で行われた公開計量&記者会見に出席。この時も、舞台上の咲人に背後から近づき、臀部(でんぶ)付近を思い切り蹴り飛ばした。幸いにも咲人は何ともなかったが、無防備の力の抜けた状態で背後からいきなり蹴られれば、プロ格闘家でも大けがをする可能性がある。
批判を恐れずに言うと、失神した相手に中指を立てても、吐き気がするほど下品だが、それによって相手の体にダメージを与えることはない。だが背後から蹴って相手をケガさせれば、それが不良をウリにするブレイキングダウンの記者会見であっても傷害事件だ。溝口COOは17日の会見後にレオにくぎを刺すべきだった。
これまでの言動が、指示された“キャラ”の可能性はある。だがあれが素の状態であれば、精神的に未熟過ぎると言わざるを得ない。視聴者も観戦チケットやPPVを買ってまで見たいとは思わないだろう。溝口COOら周囲が、次回もレオを出場させたいのであれば、もう少し、大人の男としての立ち振る舞いを教えるべきだ。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)