プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)が24年11月、サウジアラビア政府直轄のプロジェクト「リヤド・シーズン」と推定総額30億円という複数年スポンサー契約を結んだことは大きな話題となった。このプロジェクトを推進するサウジアラビア総合娯楽庁のトゥルキ・アラルシク長官が新たなボクシングリーグ設立への動きをみせた。
米プロレスWWEと米総合格闘技UFCの親会社となるTKOグループと提携し、新たなプロボクシングプロモーションを立ち上げると3月5日(日本時間6日)、発表した。今回はTKO、同長官が買収した米老舗専門誌ザ・リング、同国公共投資基金の企業「セラ」の提携発表だったが、米メディアはUFCデイナ・ホワイト社長兼CEO、WWEニック・カーン社長兼TKO取締役と3人で、26年からボクシングリーグを創設すると報じた。
UFCホワイト社長は「ボクシングではファンの関心をひくために無敗でなければならないという状況になってしまった。そういったことはすべてなくなるだろう。新プロモーションに名を連ねる選手の中には、無敗記録を持っている選手はたくさんいる。そして彼らはお互いに戦うことになる」とコメント。既に最強VS最強のファイトが行われることを予告した。
アラルシク長官が買収したザ・リングは創刊後すぐにザ・リング選定ベルトという独自の王者も認定している。同長官は「私たちにはベルトがある。103年前のものだ。それは(人気ボクシング映画)ロッキーが獲得したベルトであり。ジョー・ルイス、ムハマド・アリが獲得したベルトがある」と発言。ボクシングリーグの頂点がザ・リング選定ベルトを手にすることを想像させるコメントだ。
総合格闘技界のトップとしての知名度を誇るUFCには明確なランキングシステムが導入され、その頂点が世界王者して認識されている。対してボクシングは世界主要4団体の各階級に王者が存在しており、王座統一戦で最強を決めている。最大で1階級で8人の世界王者が存在する時期もある。アラルシク長官、ホワイト社長らの発言通り、各階級に1人の世界王者を決めるシステムとなると、ボクサーにとって世界王者になることがはるかに難しくなる。
UFCホワイト社長はSNSを通じ「ボクシングというスポーツを心から愛するトゥルキ氏と、新たなボクシングリーグを立ち上げる契約を結んだばかりだ。このモデルは、ファンが見たい試合を提供できることが証明されている。最高の選手が最高の選手と戦い、ボクサーたちはランキングを上げ続け、世界王者になる。試合をどこで観戦できるか、その他ビジネスの詳細については、スタートが近づくにつれて発表する」と予告。ボクサーの契約、試合スケジュール、会場、開催地は数カ月以内に発表される予定だという。
この新たなボクシングリーグ設立の動きが、26年以降、世界のボクシング界どのような化学変化を起こすのか? 井上も今年12月以降にサウジアラビアでの試合を計画中で、26年以降のキャリアにも影響を及ぼす可能性も十分にある。今後のサウジアラビア、TKOグルーブの動向は大きな注目を集めている。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)


