新たな船出の日-。そう思えば胸が躍る。ただ、同時にそれは長年の“相棒”との別れでもある。そうなると思いは複雑だ。「約18年か。寂しくなるんじゃないかな…。切った後、どんな髪形になるのかな?」。2月4日に引退相撲(両国国技館)を控える元関脇朝赤龍の錦島親方(36)は、断髪式ではさみを入れられるマゲに手を伸ばしながら静かに話した。

 引退相撲では十両、幕内取組のほか綱締め実演や初っ切り、髪結い、相撲甚句など通常の余興が行われるほか、取っておきの「ご披露」を用意している。同親方の最後の土俵入りだ。部屋の十両格行司・木村朝之助先導のもと、4歳になる長男と2人で務める。「来てくださる皆さんの思い出に残る引退相撲にしたい」と同親方。物心両面で支援してくれた関係者、ファン、何かと気にかけていた病気に苦しむ子供も観戦に来てくれる。さらに新たな思いも。「初めて相撲を見に来た人が『また相撲を見に行こう』『今度は本場所を見たい』と思ってくれたらうれしい」。真面目で実直な人柄そのままに、最後の土俵も立派に務める。【渡辺佳彦】