新年最初の場所で、また初優勝力士が誕生するか-。

1月10日に初日を迎える今年の初場所(東京・両国国技館)は例年以上に話題が豊富だ。11月場所後に横綱審議委員会から「注意」の決議を受け、再起を期す白鵬と鶴竜の両横綱、綱とりが懸かる大関貴景勝、かど番の正代と朝乃山の2大関、大関とりの足固めにしたい照ノ富士…。そんな中で、初場所は16年から琴奨菊、稀勢の里、栃ノ心、玉鷲、徳勝龍と、5年連続で初優勝力士が誕生している。三役以上で優勝経験がないのは関脇隆の勝(26=常盤山)と小結高安(30=田子ノ浦)。伸び盛りの若手と、復調気配の大関経験者が“ジンクス”継続候補の筆頭かもしれない。

隆の勝は謙虚な姿勢の中にも、言葉からは自信がにじんでいる。昨年は12勝を挙げた春場所から4場所連続で勝ち越し、3位となる年間45勝を挙げた。「自分でもビックリするくらいというか。精神面もそうだし、体の力も成長した年かなと思う。相撲内容、相撲の幅が広がった。そこが一番でかかった」。同部屋の大関貴景勝が刺激。2021年は「優勝」と「大関」昇進を目指す。

高安は奮起する理由がある。場所後の2月に第1子が誕生する予定。両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古では「だいぶ奮発材料になっていますので、励みにしていきたい」と話していた。出稽古が禁じられている中、部屋には荒磯親方(元横綱稀勢の里)という最高の稽古相手がいるのことが強み。「恵まれていますので、恩返ししていきたい」と意気込んでいた。

昨年は徳勝龍が史上2度目の幕尻優勝。観客の人数は大きく違うが、主役が誰になっても、ドラマのある場所になるはずだ。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

昨年の初場所で幕尻優勝を果たした徳勝龍は優勝インタビューで涙ぐむ(2020年1月26日撮影)
昨年の初場所で幕尻優勝を果たした徳勝龍は優勝インタビューで涙ぐむ(2020年1月26日撮影)