土俵上の熱戦だけが、大相撲の楽しみ方ではない。落語家の6代目三遊亭円雀(56)が注目するのが力士たちの浴衣だ。「力士浴衣マニア」を自称し、力士本人や後援者の方々からいただいた反物を知り合いの業者に仕立ててもらう。「浴衣を見ると、それしか考えられない。仕事以外でも、できれば1年365日着ていたいくらいです」と情熱をささげる。
20年ほど前に元力士から反物をもらう機会があったことがきっかけに、多種多様な色合いに目を奪われた。自分なりにどうアレンジしようかと考えるうちにハマった。知り合いの仕立て業者を通じて手がけてもらったのは、浴衣、ポーチ、財布、ハンドバッグ、アロハシャツなど140品に及ぶ。
取材時にはプライベートでも交流のある小結翔猿からもらった反物で作った浴衣を着て、仕立てたバッグなども見せてくれた。オシャレなコーディネートを記者が称賛すると、「くださった方々へのありがたみを感じているからこそ、精いっぱい応えようと思っています」と説明。さらに「目標は幕内力士全員の反物をゲットすることです」と意気込んでいた。
力士の反物がもたらした相撲との縁に感謝しながら、本業にも生かそうと、「落語大相撲」と題してイベントを定期的に開催している。来月3日には十両復帰を目指す幕下の勇磨(25=阿武松)と阿武松部屋所属の床山の床雄などをゲストに招いて東京・お江戸日本橋亭で落語大相撲を開催。勇磨と床雄がゲストの夜の部はチケットが売り切れとなったが、昼の部は予約ができるという。相撲に親しむファンが増えることを願って引き続き橋渡しを担う。【平山連】