秋場所12日目のこと。
結びの一番で横綱豊昇龍に勝った安青錦(21=安治川)は、支度部屋に戻ると懸賞金が入った袋の束から1つを抜き出し、一等床山の床仁(59=荒汐)に手渡した。
「誕生日プレゼントです」
床仁は「ありがとうございます」と言って受け取った。
床仁は言う。
「そりゃ、うれしいですよ。家のリビングの高いところに、飾ってあります」
1日遅れの誕生日プレゼントだった。
床仁の59歳誕生日は、11日目の24日だった。この日、安青錦は正代に敗れて懸賞金を手にできなかったが、12日目に大きな白星とともに縁起物を手に入れた。
安青錦は、床仁への感謝を口にする。
「師匠が現役の時から(マゲを)やってくれていた。自分が入門した時も、関取になったら(大銀杏を)やってほしいとお願いしていました。相談に乗ってくれることもあります」
安青錦の師匠、安治川親方(元関脇安美錦)が現役だったころ、床仁が大銀杏を担当していた縁がある。そのため、安治川部屋が創設された時から、部屋の力士のまげは床仁が結ってきた。
安青錦のちょんまげは、他の力士と異なり左に曲がっている。これは床仁の勧めで始めた。小錦、曙、武蔵丸のハワイ勢が左曲げだった。
最初は照れた安青錦だが、今はほかの力士にない個性として定着した。
所属の部屋は異なるが、2人は信頼関係で結ばれている。【佐々木一郎】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)


