九州場所8日目のことだった。西の支度部屋で取組前の玉鷲(41=片男波)が、床山の床雄(とこゆう、28=阿武松)と派手に抱き合っていた。

あれは何があったのか、取組後に聞くと玉鷲は「プレゼントをもらったから。あの子にも誕生日プレゼントをあげてる」と教えてくれた。しかし、もらったものは「秘密」。8日目は玉鷲の41歳誕生日だった。

なぜ床雄が玉鷲に贈り物をするのか? 後日、床雄に聞いた。「毎年、やりとりしています。3、4年前の巡業の時(片男波部屋の)床真さんが玉鷲関から誕生日のお祝いをされていたんです。その時、床真さんが『彼も同じ誕生日なんですよ』と言ってくれたことがきっかけで、一緒に祝ってもらうようになりました」。玉鷲の兄弟子でもある床真(43)と床雄は年齢は違うが、同じ12月3日生まれだった。

三等床山の床雄は玉鷲について「すごいやさしい人。年も離れているし、階級も部屋も違う。それでも気にかけてくれます。よく人のことを見ていますよね、服装とか」と感謝している。床山の渡航人数が限られたロンドン公演中は、玉鷲の大銀杏(おおいちょう)を結ったという。

玉鷲のコミュニケーション能力の高さを示すエピソード。関取最年長力士の周辺には、幸せのオーラが漂っている気がする。今年の12月3日は、福岡県行橋市で巡業がある。玉鷲が毎年贈ってくれるホールのバースデーケーキを、みんなで食べることが楽しみだという。【佐々木一郎】