6月に世界ランク入りしたばかりのWBO世界スーパーフェザー級13位末吉大(26=帝拳)が強烈な左ボディーブロー一発で、初のメインイベントの大役を果たした。

 フィリピン同級6位ネルソン・ティナンパイ(24)に序盤から優勢に進めると、3回だった。「練習でもやっていましたが、狙っていたわけでない。無意識に出た」と、左拳を相手の右腹部にめり込ませた。ティナンパイはゆっくりと崩れ落ち、キャンバスでもん絶。そのまま10カウントを聞かせて2分32秒でKO勝ちを決めた。

 これで12連勝とした名門帝拳ジムの期待の星は、「リングに上がったら、特に気にすることなくやりました」と堂々とした試合ぶり。村田諒太を指導する田中繊大トレーナーは、そのパンチの特徴を「痛い」と表現する。「ただ拳が硬いのではなくて、インパクト、スナップの効かせ方などで選手のパンチは変わってくる。センスがある」と説明する。これまでは精神的な弱さ、コントールの課題を指摘される場面もあったが、本人も「徐々に抑えられるようになってきている」と自信を重ねる。

 日本タイトルは同門の尾川堅一が保持しており、挑戦は難しい状況。東洋太平洋タイトルは唯一の黒星を喫した伊藤雅雪が持つ。今後の他選手の動向次第になるが、「タイトルはほしいです」と素直に口にした。