プロレス人生40年で7回目の引退を発表した大仁田厚(59)が、長年の夢だった米国での電流爆破を実現した。

 大仁田は5日(日本時間6日)、米ニュージャージー州のフライヤースケートゾーンで行われた、CZW主催のワンス・イン・ザ・ライフタイム大会で、マット・トレモントとシングルマッチで対戦。大仁田は開始早々、トレモントを捕らえて有刺鉄線に額を押し付けると、パイプ椅子攻撃に有刺鉄線バットと連続攻撃を加え、最初の爆破を打ち込んだ。

 その後、雷神矢口と保坂秀樹が乱入し、大仁田を助けたことで乱闘に発展。その揚げ句、最終的にトレモントが認めたことでCZWのリッキー・シェーン・ペイジとダニーハボックが加わり、急きょ試合中に6人タッグマッチに変更になった。

 大仁田は、試合形式が変更になっても手を緩めず、トレモントに2発目の電流爆破を打ち込んだ。さらに、大仁田が放った3発目の爆破バットが決め手となり、最後は雷神矢口がCZW軍を有刺鉄線ボード上へのサンダーストラックで沈めた。

 会場には2150人の熱狂的なファンが殺到して満員となり、消防が一時、入場制限をかけて試合開始が遅れるほどの盛況ぶりだった。大仁田は試合後、会場を埋め尽くしたファンに「アメリカの皆さん、本当にありがとう、ありがとう!私たちは同じく人間だ」と英語で語りかけ、聖水をまくパフォーマンスも飛び出すなど“大仁田劇場”を展開した。

 さらにトレモントに「日本に来い!もっとすごい電流爆破を体験させてやる!」と呼びかけた。9歳の頃から大仁田に憧れて育ち、対戦と日本でプロレスをすることを夢として掲げてきたトレモントにとって、2つ目の夢に大きく前進した。

 夢だった米国での電流爆破を実現した大仁田と、その大仁田が目標だったトレモントが激突した夢のハードコア対決は、舞台を日本に移して決着をつけることになりそうだ。

 さらに8月28日には、大仁田の分身グレート・ニタが東京・新木場1st RINGで開催する「さよならグレート・ニタ新木場大会」で、最後の姿を披露することも決まっている。

 大仁田は16年8月に右尺骨、同11月に左かかと、同12月に腰椎、17年2月に再び右尺骨と、7カ月で4度も骨折。縫った全身の傷は1499針に達し「一生懸命やれるのはこれまでかな」と肉体の限界を理由に、10月31日に後楽園ホールで行われる「さよなら大仁田、さよなら電流爆破 大仁田厚ファイナルツアー」で引退する。