ボクシングの元3階級制覇王者八重樫東(34=大橋)が11日、横浜市内のジムで会見し、日本人初の4階級制覇を目指して現役を続行すると発表した。

 5月にIBF世界ライトフライ級王座3度目の防衛戦でミラン・メリンド(フィリピン)に1回TKO敗北後に進退を悩み抜いた。「いまの自分自身の気持ちと正直に向き合い、納得していない部分があった。いろいろな方に体を大事にした方が良いと引退も勧められたが、自分の将来のことなので一番は自分の気持ち。ボクシングの情熱が残っている」と決断に至った。

 山あり谷ありで3階級を制したボクシング人生だけに、復帰に向けた新たなモチベーションが必要だった。それは日本人初の4階級制覇。これまでミニマム→フライ→ライトフライと2階級上げ、1階級下げ、変則的に世界タイトルを奪取してきたが、今後の照準は2階級上げるスーパーフライ級。「選択肢はそこ。タレントも多い。すてきな階級と」と気持ちを高ぶらせる。先月には米国デビューした同門のWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24)のV6戦を現地観戦し、ともに対戦経験のあるWBC同級王者シーサケット・ソールンビサイ(タイ)対元4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)のタイトルマッチなども観戦した。盛り上がるスーパーフライ級戦線に参戦することが、何よりのカンフル剤だった。

 今夏には同世代の名王者もリングを去った。内山高志、三浦隆司。得に内山は拓大の先輩で親交厚い。「続けると思っていたのでビックリした。これは僕も辞めた方がいいのかなとも思いました。でも、僕らの代の選手が根こそぎ辞めていく流れがあるからこそ、逆にもう1回やってみようと思った」。ベテランの星として復活を遂げる。それも大きなモチベーション材料となった。

 注目の復帰戦は、早ければ年末。状況を見てもいきなり世界タイトル戦は難しく、世界前哨戦を組むことになりそうだ。「ぼちぼちやりますよ」と柔らかい笑顔で述べたが、しっかりと目標を定め、前人未到の領域に進む。