ボクシングのWBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が、早くも挑戦者の「癖」を見抜いた。

 1月31日、今月上旬に続く2度目の沖縄キャンプのために羽田空港に姿を現すと、4月15日に横浜アリーナでゴングが鳴る初防衛戦の相手、同級10位エマヌエーレ・ブレンダムラ(38=イタリア)に言及。「対策という面では具体的になった。頭を倒す方向が一定だったので。それは想定しやすいかな。あとはスタイル的にもだいぶイメージ的にはつかみました」。午前7時の空港でさわやかに述べた。

 前日の練習前、初めてじっくりと過去の試合の映像を見入ったという。27勝で5KO。KO数が少なく勝利を重ねている事実は逆に長いラウンドでの勝ち方を会得しているという考えのもと、技巧派の難敵ぶりを想像していたが、やはりだった。

 「良いイメージも悪いイメージもある。悪いイメージで言うと、結構スタイル的にラスベガスの1戦目でやったガナー・ジャクソンに近い。判定までいってしまった」

 初の本場での一戦に、まったく良いところを出せずに10回3-0の判定勝ちに終わった15年11月の試合。引き合いに出すと、「ちょこまか動いて頭を横に倒して相手のパンチをさける。そのあたりのスピードが結構ありそう」と警戒した。

 悪いイメージから話し出すところが、決してポジティブではない村田らしいが、ただむしろ、この日の特筆すべき発言はその後に続いた良い方だった。それが「頭の倒す方~」の言葉だった。倒すための1つの道程を発見した。

 昨年10月の王座戴冠後は多忙を極めた。今月上旬のキャンプが「サビを落とすものだった」とすれば、今回は磨きをかける機会となる。高強度のインターバル系トレーニングに必要な器具をトレーナーが持ち込むことを知り、「いまから北海道便に替えようかな」と苦笑したが、もちろん冗談。それくらいきついが、きつい先に防衛戦での勝利がついてくると誰よりも分かっている。