挑戦者で同級1位の山中慎介(35=帝拳)が、因縁の元王者ルイス・ネリ(23)に2回TKOで敗れ、現役引退を口にした。

 リングサイドで観戦した山中の妻、沙也乃夫人は困惑して、言葉を絞り出した。「これはどういう感情に持っていけばいいのかわからない。倒すことができなかったので、受け入れるしかないですが。同じスタートからじゃない負けなので」と戸惑いを見せた。

 「同じスタートじゃない」という言葉の意味を「体重か」と聞かれると「そうですね。体重…。なんか、どうなんだろう、う~ん、どう処理していいか、わからない感じです。相手の(試合への)挑み方をみると、主人の努力は何だったんだろうって思います」と不思議そうに言った。気持ちの整理がつかない様子で「正々堂々と明らかに負けとかなら…。(自分がどういう気持ちか)わからないんです」と口にした。

 前夜は山中と電話で会話したという。「(山中は)もう開き直っていた、というか、自分で気持ちの整理をつけなきゃいけない、という感じだった。あきれていたというか。(山中は)『勝つしかないね』といっていた」。夫人の目に涙はなく、あまりに不条理な展開に困惑していた。