デビュー42戦目の王者久田哲也(33=ハラダ)が同級1位板垣幸司(34=広島三栄)を2-1の判定勝ちで退け、3度目の防衛に成功した。

 序盤は相手の出方を見てしまう悪癖が出て、リーチで勝る挑戦者に距離を支配されたが、中盤以降に巻き返した。7回に偶然のバッティングで左上まぶたが腫れ上がり、視界が制限される中、終盤はポイントを奪うことに徹した。

 「今日は反省しかないです。自分がイメージしていた戦い方はあったけど、うまく実践できなかった。油断とは言いたくないけど、しっかり対策されてましたね」。試合後のリングでは、4日前に誕生日を迎えた母恵子さん(63)を招き入れ、感謝の言葉を伝えて“親孝行”をしたものの、母から「ちょっとふがいなかったですね」と突っ込まれると、苦笑いを浮かべるしかなかった。

 それでも、ベルトという“世界戦の切符”は死守した。世界ランクは現在主要4団体とも10位内で、陣営は今後、世界初挑戦の交渉を本格化する構え。最優先ターゲットは、ランク1位で指名試合の権利を有するWBAでスーパー王者田口良一ではなく、正規王者カニサレスに定める。このほどカニサレス側から母国ベネズエラでのマッチメークを提案されたが、年内の日本開催を目指す。

 久田は「こんな試合をして言うのも何ですが(世界王座を奪う)自信はあります。自分のことを信じたい」と話した。この日の入場曲はアントニオ猪木の「INOKI-BOM-BA-YE」。前日に友人らの勧めで急きょ決定し、ファンの「ヒサダ! ボンバイエ!」の大声援を受け、リングに上がった。快勝ならリング上で「1、2、3、ダーッ!」をやるつもりだったが、さすがに遠慮したとか。歓喜の“ダーッ!”は、デビュー43戦目か44戦目の大舞台で世界のベルトを手にした時までお預けだ。