WBC世界スーパーバンタム級2位の亀田和毅(ともき、27=協栄)が、3年ぶりの王座奪回で2階級制覇を達成した。同級1位アビゲイル・メディナ(30=スペイン)に対し、初回から鋭い左ジャブでリード。中盤からは強打に耐えて手数で反撃し、3-0の判定勝ち。兄2人に続く世界に例のない3兄弟2階級制覇で、一家にとって7本目のベルトをつかんだ。

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今夏、和毅には「神秘の王」との出会いがあった。知人を通じ、新日本プロレス参戦時に来日していた元WWE世界ヘビー級王者レイ・ミステリオJr(43)と都内の焼き肉店で交流を持った。スペイン語が流ちょうな和毅は、自らと似た境遇の人気レスラーに興味を持ったという。「あの身長(168センチ)で3度もWWEのヘビー級王座を取ったと聞いてビックリした」。

メキシコ生まれのミステリオJrは米国に進出し、WWEで大活躍したことを知り「海外に出て活躍して、少しずつ名前が売れていったと聞いた。米国ですごい活躍して何億も稼いだと。それは英語も話せるから、語学ができるからだと」。自らも15歳でメキシコ修行を始め、スペイン語も堪能。米国で世界戦に臨んだ経験も聞いてもらい「お互いにプロの生き方を話した。共通点も結構多かったから面白かった」と声を弾ませた。今年10月、先に約3年8カ月ぶりのWWE本格復帰を果たしたミステリオJrを追うように、和毅も約3年ぶりの世界戦で王者にカムバックしたのは、決して偶然ではないだろう。【藤中栄二】