ボクシングWBA世界ミドル級王者村田諒太(33=帝拳)を迎え撃つ難敵王者が異例の早期来日を果たすことが20日、分かった。7月12日、エディオンアリーナ大阪で村田との再戦を控える現王者ロブ・ブラント(28=米国)が試合2週間前の今月28日に来日し、日本での調整を入念に行うという。対する村田は同日、都内の所属ジムで練習を公開。今週2度、8回のスパーリングを消化し、追い込みに入ることを明かした。

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1度拳を交えた村田の強さを知るからこそ、ブラントは早期来日を希望した。昨年10月、米ラスベガス以来となる村田との再戦を控え、今月28日に陣営とともに来日。海外勢は1週間前後、早くても10日前に日本に到着するケースが通常で、2週間前は異例のスケジュールとなる。

今回の再戦決定後、ブラント陣営は当初、3週間前の来日を希望していたという。4月25日の世界戦発表時に来日した際、ブラントは「日本の人たちはとてもフェアだ」と村田陣営の対応に好感を持ち、2週間前に切り替えて日本到着を決めたという。現在、米ラスベガスで調整を続けているブラントは日本到着後、都内のジムで練習し、時差などを調整。試合3日前に大阪入りする見通しになっている。

異例の来日を決めた王者とは対照的に、村田は自らの調整日程を貫いている。18日に8回のスパーリングを消化し「内容はいいと思います」と振り返った上で、21日にも再び8回のスパーリングに臨むことを明かした。「来週いっぱいまでは練習の佳境かなと思います」と充実した笑みを浮かべた。

契約を結ぶ米プロモート大手トップランク社から送り込まれたWBC世界ミドル級8位ルイス・アリアス(28=米国)ら3人の練習パートナーとのスパーリングで、感触の良いパンチを打てた手応えがあるという。「スパーリングの内容が良くても試合で出ないと意味がないので。7月12日のリングで出るものが、村田諒太でしかない」。浮足立つことなく、村田は調整を続ける。【藤中栄二】