新日本プロレス東京ドーム大会「WRESTLE KINGDOM」が4、5日に開催される。IWGPヘビー級、同インターコンチネンタル王者内藤哲也(38)が、史上初めて2冠の2日連続防衛を目指す。メインで4日には自ら指名したG1クライマックス連覇の飯伏幸太(38)と対戦。勝てば、5日に挑戦権利証を持つジェイ・ホワイト(28)と戦う。2連勝で絶対王者を証明する。

2冠の2日連続の防衛は、新日本プロレス史上初となる。

昨年大会は、1月4日にIWGPヘビー級と同インターコンチネンタルの両タイトル戦、5日にダブルタイトル戦が行われた。ベルトがなかった内藤がインターコンチネンタル王者ジェイ、翌日にはヘビー級王者オカダ・カズチカ(33)を撃破して2冠王者となった。

今大会がいばらの道であることは分かっている。タイトル保持者の内藤は4日に勝たなければ、5日のメインも連続防衛もない。初戦の相手は、昨年11月に2冠防衛に成功した際、飯伏を指名した。同学年のライバルで、肌を合わせるとほかとは違う感覚があるという。

「昔、放課後に夢中でプロレスをやっていた時のような。痛くてもきつくても、次に何を仕掛けてくるのかとワクワクする」と気持ちを高ぶらせた。勝てば、5日に権利証保持者のジェイと2日連続防衛の偉業をかけて激突する。

昨年は、2日間で頂点に立ち「プロレス人生で初めて」と話すほど最高のスタートを切った。だが、その後はコロナ禍で3月から試合は中止になった。6月の再開後も無観客が続き、期待をふくらませた昨年はもやもやが残った。「お客さまに内藤哲也のプロレスを見せることができなかった」と悔しがった。

花道には特別な思いがある。今回は王者として初めて最後に登場。メインを制すれば、勝者だけが引き揚げる際も歩くことができる。昨年大会では、オカダに勝利後、KENTAの乱入によってまさかの負傷退場となった。今年こそという思いは強い。

「日本のプロレス界最大のイベント。花道を4回歩くつもりで、2日間のタイトルマッチを決めた」。今年の東京ドームのビクトリーロードは内藤のためにある。

 

○…飯伏は、疑惑の判定で内藤への挑戦権を失った。昨年11月の「権利証争奪戦」。足がロープにかかった状態のジェイに、抑え込みで3カウントを奪われた。バレットクラブの仲間、外道も乱入してきたこともあり「映像を見ても反則は明らか。こんな現実があるんですか。まさかの結果だった」と悔しさをにじませた。ジェイは「レフェリーが3カウントだと言っているんだから」と言い放った。判定は変わらず、飯伏はリング上でぼうぜんと座り込んだ。

失望の中、内藤から4日の相手に指名された。「ありがたいし、やらさせてもらいますという感じ。本当はジェイを倒してからやりたかったので、素直に喜べなかった」と明かす。同学年の内藤を「特別な存在」と話す。「昔から意識し合ってきた。一時期は僕の方が良かったけど、一気に抜かれた」。ライバルに勝てば、念願のIWGPヘビー級王者となる。

もらったチャンスを生かし、5日のジェイ戦につなげる。「連勝すればめちゃくちゃいいスタート。今度は正々堂々だと思うが、1対2でも倒すくらいの気持ち」。21年を飯伏の年にするため、連勝を誓った。

 

○…11月に飯伏から挑戦権利証を奪取したジェイは、その後の会見で「俺は(1月)5日しか出ない。4日は休む」と宣言。“反則”での勝利には「納得いかないだろうけど、リングの上で起こったことがすべて」と聞く耳を持たない。昨年の東京ドームでは内藤と戦い、インターコンチネンタルのベルトを奪われた。「リングを降りる時には俺が2冠王者になっている」と一番最後に主役を奪う。

 

○…人気講談師の神田伯山(37)が、2月からスタートする「神田伯山の“真”日本プロレス」(CSテレ朝ch2)でMCを務める。近年、多忙で観戦できておらず、受けるか悩んだ時もあったが「ここまで趣味に特化した番組は初めて。申し訳ない気持ちもあるし、批判もされるだろうが、常連から初心者まで楽しめる番組にしたい」と意気込んだ。幼いころに兄の影響でファンになった。「闘魂三銃士の時代で、特に武藤選手が好きだった」と明かす。さらに「おもしろ過ぎるジャンルの1つ。知らずに死んでいくのはもったいない。素養として、義務教育のように見ておいた方がいい」と持論を展開。注目選手に、新日本の石井智宏の名を挙げ「実際に大きい方ではないでしょうが、リング上では私には誰よりも大きく感じる時があります」と話した。熱い魂が再燃した伯山が、プロレスの魅力を全国のファンに届ける。