デビュー5年目の井土徹也(20)が悲願の初ベルトを手にした。兼平大介(36)と組み、ユニバーサルタッグ王座決定トーナメントで2試合を戦い、優勝。「このベルトをもっと大きくしていけるように強くなりたい」とファンに向け、喜びを届けた。

決勝戦は波乱のスタートだった。ゴングが鳴ると、いきなり場外に突き落とされ、パイルドライバーでマットも敷いてない床の上にKO。セコンドに抱えられ一時“退場”となった。1対2の状況で兼平が奮闘するも劣勢が続いた。約5分後にようやく戻ってきた井土は、テーピングを巻いた首を押さえながらもバックエルボーやドロップキックを豪快に決め、大逆転の3カウントを奪った。

16歳からヒートアップ道場で学んだ。パートナーの兼平とは、川崎・稲田堤のジムで毎日のように肌を合わせて技を磨いたことから2人の愛称は「稲田堤兄弟」。弟・井土はようやく届いたベルトに「重みを体感した」とかみしめ、そばで成長する姿を見てきた兄・兼平も「2人で取れたことがめちゃくちゃうれしい」と目を細めた。

試合後には初防衛戦の相手が決定。さらに気分を良くしたのか、シングルマッチへの挑戦も要求した。その相手は、一から指導してくれたヒートアップ代表で現ユニバーサル王者の田村和宏(41=TAMURA)だった。リング脇で見ていた田村を呼び「どんどん攻めていかないといけないので、シングルのベルトを挑戦させてください。大きくしていく自信と覚悟はあります」と表明。田村は「俺の方が成長している。それを体で覚えさせてやる」と受諾し、4月新百合ケ丘大会での対戦が決定した。「稲田堤兄弟がレベルを上げていく」。兄と一緒にヒートアップを背負っていくため、まずは師匠超えを狙う。【松熊洋介】