20選手による「シンデレラトーナメント」の準決勝、決勝が行われ、上谷沙弥(24)が舞華を破り、初優勝を飾った。

押され続けながらも終盤の切り返しで逆転した上谷は、起き上がれない舞華を見ながら、天に向かって人さし指を大きく突き上げ、勝利を確信した。コーナーに上り、必殺技のフェニックス・スプラッシュを豪快に決めて3カウントを奪った。

「未来のスターダムがシンデレラになった」。バックステージに現れた上谷は、涙を見せながら喜びを語った。「プロレスに出会うまで、アイドル活動をしていて、いくら努力しても報われることがなかったけど、今日、プロレスラーとして1人でタイトルを取ることができてうれしい」。

勝っても負けてもすぐに泣いてしまう。ベルトを持っていても、いつも王者としてプレッシャーを感じていた。「自分の心が弱くて折れることも多かった」。自信を持ってトレーニングを続け、メンタルを強化したことが勝利につながった。準決勝では体格で上回るひめかに物おじせず、ぶつかっていった。決勝ではシングルで負け続けていた舞華に強烈なエルボーを浴びせ続け、上谷らしい打点の高い蹴りも披露した。「やられっぱなしの舞華に勝てたことで誇りに思う」と振り返った。

試合後にはお色直しで、自分のカラーであるグリーンのドレス姿に“変身”。ファンの拍手に迎えられ、花道を笑顔でゆっくり歩いた。「人生でもこんなすてきなドレスを着たことがない。最高です」と満面の笑みで語った。

「これからは正真正銘のスターダムを目指す」。プロレス界に導いてくれた、ワンダー・オブ・スターダム王者中野たむのベルトに挑戦表明。「今なら手に届くベルト。受け止めてもらった上で、白いベルトを手にしたい」と誓った。泣き虫レスラーだった上谷は、美しいシンデレラとなり、スターダムの頂点を目指す。【松熊洋介】