ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が19日(日本時間20日)、米ネバダ州ラスベガスのヴァージンホテルで挑戦者のIBF同級1位マイケル・ダスマリナス(28=フィリピン)との防衛戦(WBA5度目、IBF3度目)に臨む。19年3月、デメシリョとのIBF挑戦者決定戦で勝利したダスマリナスは同年10月のノンタイトル戦を経て、王者井上に挑むチャンスをつかんだ。

「長くて大変な待機期間だったが、忍耐強く待ち、ここまでたどり着いた。井上尚弥という偉大なファイターと戦う機会を得られたことを感謝している」。身長170センチのサウスポーは、さわやかな笑顔で約1年7カ月ぶりのリングを待ち望んでいる。

「トレーニングでやるべきことはすべてやってきたし、準備もできている。井上尚弥に良い戦いをするために必要なことは何でもした」と振り返るダスマリナスは19年10月、井上の弟拓真(25)の練習パートナーとして来日。サウスポーで当時のWBC同級正規王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)との王座統一戦を控えた拓真と大橋ジムでスパーリングしている。その際、井上の父真吾トレーナー(49)や大橋秀行会長(56)が「井上の未来の挑戦者」として動きをチェック。大橋会長は「やっぱりワンテンポ遅れてくる左のロングフック。あのタイミングがずれたパンチがあまりないから一番怖いかな」と警戒している。

持ち前のパワーとボクシング技術を自負するダスマリナス。陣営も「井上尚弥はビッグネームだが、あわてたり、必要以上にこわがったり、心配したりはしていない。準備は十分にしてきた」と強調する。11人兄弟の9番目に生まれ、大工と農業を兼務した父から勧められたボクシングを9歳から開始した。18年に他界した母と「家族を元気づけるという約束をしたんだ。この戦いのファイトマネーで家族を助けたい」と貪欲な姿勢だ。

フィリピンのルソン島にある南カマリエス州ピリに生まれ、故郷はトウガラシが名産。愛称の「ホット&スパイシー」は故郷の名産が由来だ。米国内で井上が「モンスター」として知名度を挙げていることから、ダスマリナスは「今回、米国は私のとても辛い、スパイシーパンチを学ぶことになる」と不敵な笑みを浮かべていた。

◆マイケル・ダスマリナス 1992年8月20日、フィリピン・カマリネス州ピリ生まれ。9歳からボクシングをはじめ、10年に国内大会で優勝し、アマ戦績は105勝5敗。12年1月にプロデビューし、15年7月、WBCユース・スーパーフライ級王座を獲得。家族は夫人と2歳の娘。プロ通算戦績は30勝(20KO)2敗1分け。身長170センチの左ボクサーファイター。

◆放送 WBA・IBF世界バンタム級タイトル戦井上尚弥-ダスマリナス戦はWOWOWプライムで生放送、WOWOWオンデマンドでライブ配信される。