米プロレスWWEの前NXT女子王者紫雷イオ(31)が8日配信のNXTザ・グレート・アメリカン・バッシュ大会でNXT女子タッグ王座に初挑戦する。ゾーイ・スターク(27)とタッグを組み、王者のキャンディス・レラエ(35)、インディ・ハートウェル(24)組に挑む。今年3月に創設された歴史の浅い王座ながらも今、WWEでクローズアップされているホットなタイトル。第7回の「WWEの世界」は、注目のNXT女子タッグ王座を紹介する。

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白く輝くNXT女子タッグ王座は、異例の誕生を果たした。80年代に存在していたWWE女子タッグ王座が18年12月に復活。この王座が当初、ロウ、スマックダウン、NXTの3ブラントを通じた唯一のタッグタイトルと紹介されていたが、今年3月に急きょ、NXT独自の女子タッグ王座が新設された。

NXTでは同2月、8組出場のトーナメント戦となる「ダスティ・ローデス杯女子タッグチーム・クラシック」が初開催。ダコタ・カイ、ラケル・ゴンザレス組が優勝し、3月には当時のWWE女子タッグ王者シェイナ・ベイズラー、ナイア・ジャックス組に挑戦した。しかしカイがベイズラーのキリフダクラッチ(胴絞め裸絞め)で絞められ、レフェリーストップ負けを喫した。

しかし試合途中に正規レフェリーが選手と衝突してダウンし、WWEオフィシャルのアダム・ピアースの独断で代替レフェリーが起用された。この一方的な行動に出たピアースとNXTのウイリアム・リーガルGMがもめる事態に発展。トーナメント戦で優勝者を決めた「権威」と「価値」を重視し、GM権限でNXT女子タッグ王座の創設、カイ、ゴンザレス組を初代王者にすると発表した。

WWEオフィシャル-NXT・GM間の対立によって生まれた王座にもかかわらず、紫雷は「(王座新設は)女子のタッグ戦線が、かなり盛り上がっていたからだと思う」と言い切る。1日配信のNXT大会ではスタークと組み、ラケル・ゴンザレス、ダコタ・カイ組、元タッグ王者エンバー・ムーン、ショッツィ・ブラックハート組との3WAY形式挑戦者決定戦に出場。6人が入り乱れながらスピードと大技が駆使された攻防を制し、挑戦権を勝ち取った。

紫雷は言う。「つい2~3年前なら女子タッグはごちゃついたり、見づらい部分があったかもしれない。けれど、今は違う。めちゃくちゃ女子選手のレベル、タッグのレベルが上がりました」。

NXTで人気選手の1人となる紫雷が、急造タッグのスタークとベルト奪取に成功すれば、タッグ王座争いの構図もより広がりそうだ。「NXT女子戦線がめちゃめちゃ熱いということです」。他選手の気持ちも代弁した紫雷の言葉が、この王座の可能性の大きさを示していると言っていい。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)