WWEの「野獣」ブロック・レスナー(44)が変わった。22日のPPVクラウン・ジュエル大会(サウジアラビア)でWWEユニバーサル王者ローマン・レインズ(36)に挑戦する元同王者にとって20年4月5日以来565日ぶりの復帰戦となる。今年8月のPPVサマースラム大会で約1年4カ月ぶりにリングに姿をみせたが、風貌、スタイル、その後の言動もリニューアル。第14回となる「WWEの世界」はニューモードのレスナーを分析する。

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真夏の祭典サマースラム大会で電撃復帰したレスナーのムードは明らかに違っていた。

<1>風貌=頭髪は頭頂部だけ長く伸ばし結び、あごヒゲもたくわえた。これまでは短く刈り込んでいた。

<2>スタイル=常にチェック柄のシャツにジーパン姿で登場。これまでは試合予定がなくても、トランクス+Tシャツの戦闘コスチュームで姿をみせていた。

20年8月までにWWEとの契約が切れたことが判明。その後、知人のユーチューブ番組で豚肉のカット動画に出演したり、ファンとの写真撮影に気軽に応じ、時々、現在のカントリー風な雰囲気を“露出”していた。そして何よりファンを驚かせたのはバックステージでも自ら「話す」ことではないだろうか。

<3>言動=1日のスマックダウン大会のバックステージでインタビュアーのマイクを強奪。「すべてオレの友人(で代理人の)ポール・ヘイマンのせいでフリーエージェントだ。ブロック・レスナーは、ブロック・レスナーがやりたいようにやる」と宣言。以前はヘイマンに自らの意向を代弁させていた。

20年4月まではロウに所属していたレスナーだったが、これで自らロウ、スマックダウンのどちらもに所属しないことを表明。これも今までとは異なる点だ。WWEと23年4月までの1年半契約を結び、最低8試合は出場すると米メディアに報じられている。

レスナーがリングから姿を消していた期間、ある米格闘技メディアのポッドキャストに出演したヘイマンは「レスナーは農業に携わることが好き。公の場で話すことではないが、彼は本当に子供たちにとって素晴らしい父親、家族の人でもある。今、彼は農業にいそしむことを楽しんでいる」と現状を報告。その上で「WWEの世界がレスナーの興味をそそる、モチベーションを上げる、鼓舞することがあれば喜んで復帰すると確信している」と語っていた。

そしてサウジアラビアの舞台で565日ぶりにレスナーは試合復帰する。レインズとの「中東決戦」では、ファイトスタイルにも新しさが出るのかもしれない。久々のビースト(野獣)帰還が注目される。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)