プロボクシング3団体(WBAスーパー、IBF、WBO)統一ヘビー級王者オレクサンドル・ウシク(35=ウクライナ)が、最前線でロシア軍と戦う母国の兵士からのメッセージを受け、ベルト死守の使命感に燃えた。

20日、サウジアラビア・ジッダで前3団体同級統一王者アンソニー・ジョシュア(32=英国)との再戦を控え、16日(日本時間17日)には同地で練習を公開した。2月から勃発したロシア軍の侵攻を受けてウクライナ軍のキエフ領土防衛隊に入隊していたが、数週間後には今回のダイレクトリマッチを控え、出国が認められて調整してきた。

ウシクは「私は最前線にいる多くの軍人、兵士と連絡を取り合っている。私の勝利を祈るという応援の言葉、音声、動画でメッセージをもらっている。彼らは手を握り、私の勝利を祈っており、それが私をやる気にさせてくれる」と明かした。数え切れないほどの激励をもらい、母国の仲間を勇気づけるためのファイトと位置付けている。

昨年9月の初対決では、スピードとテクニックでジョシュアを圧倒し、3-0の判定勝利を収めた。

ウシクは「戦略については話をしないが、体重については前回のジョシュア戦よりも重い」と不敵な笑み。現地報道によれば、元4団体統一クルーザー級王者でもあるウシクは15キロ増の100キロに到達しているというが、動きに問題はなさそうな様子。公開練習ではダンスで軽快な動きをみせれば、左腕に4つ並べたコインをはじき上げ、そのまま1枚ずつ左手でつかむというトリックをみせるなど抜群の反射神経を披露した。

米老舗専門誌ザ・リングのパウンド・フォー・パウンド(階級を超越した最強ボクサー)ランキングでWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)に続き、2位に入る重量級のスターに死角はなさそうだ。