ボクシングの元WBC世界スーパーフライ級王者で、現役時代は「アンタッチャブル」の異名を取った川島郭志さん(53)が、井上尚弥(30=大橋)の新階級初戦をチェックした。

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フルトンはテクニシャンとしての持ち味を100%出し切った。高いガードの位置を巧みに変えて、井上のパンチの軌道も読んでいた。立ち位置が悪いと感じたら、すぐに左右に動く。よく研究していたし、レベルの高いボクシングは予想以上だった。

その無敗王者を倒した井上の強さにあらためて驚いた。相手はテクニックに定評があり、粘り強い。1階級下から上げてきた井上の苦戦もあると思っていた。確かにいつもより空振りは多かったが、最後はきっちりと倒し切った。彼の高い潜在能力が、さらに引き出された一戦だった。

勝負を決めた右ストレートはボディーに1度フェイントをかけて、上を狙った。目線も下。だから上へのパンチが生きた。前半から効果的な左ジャブをボディーに打っていたことが、伏線になった。最後のとどめの左フックを含めて見事だった。

これで世界戦20連勝。普段の生活面も含めた節制のたまものだろう。それを長期間維持できるメンタルの強さにも驚く。パワーはこのクラスでも通用した。タパレスとの統一戦も、フェザー級もいけると思う。このまま35歳まで、全勝で駆け抜けそうだ。(元WBC世界スーパーフライ級王者)

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