プロボクシングWBC、WBO世界スーパーバンタム級新王者となった井上尚弥(30=大橋)が26日、横浜市の所属ジムで会見した。

前日25日に東京・有明アリーナで21戦全勝中だった統一王者のスティーブン・フルトン(29=米国)を8回TKOで下し、世界4階級制覇を達成。一夜明け、傷ひとつない顔で報道陣に対応した。同級最強といわれるフルトンを下し、次戦はもう1人の統一王者、WBAスーパー、IBF世界同級王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)との4団体王座統一戦を希望している。

試合後、視察していたタパレスとリングで並んだが「(タパレスが)めっちゃ太っていたなと。それしか印象がなかった」と苦笑い。タパレスとの試合が実現し、4団体統一に成功すれば、すぐにフェザー級への転向、世界5階級制覇の期待も寄せられるが「無理してあげようと思っていない。年内に(タパレス戦が実現し)良い結果が出てもスーパーバンタム級にとどまると思います」と心境を口にした。

徐々に筋肉のよろいをつけ、スピードを落とさずに体重を増やしていくため「それには3年はかかる」と少なくとも24年まではスーパーバンタム級にとどまる意向を示した。同級で戦いたい相手がいなくなった場合を問われると「どうですかね。自分の現役生活も残り限られている。それ次第ですね。やる意味があれば」と話すにとどめた。

スーパーバンタム級初戦で最強の統一王者を下したことを受け、既に米国を中心に海外メディアではフェザー級、スーパーフェザー級まで通用するのではないかという期待を込めた声が挙がる。しかし井上は「人ごとですからね。海外のメディアは見たいのでしょう」と苦笑。階級転向については慎重な姿勢で臨むことを強調していた。