「賞金1000万円」とまさにモンスター級の決勝は、日本バンタム級王者の堤聖也(28=角海老)が、穴口一輝(23=真正)を判定3-0で下し、頂点に立った。4度目の防衛にも成功し、目標とする世界挑戦へ勢いをつけた。

井上尚弥が2階級目の4団体統一を目指すビッグマッチのセミファイナルで、名勝負が生まれた。堤は3回に的確なパンチを左目にもらい、流血。「負けるのかな」と頭によぎった。

そこから巻き返した。4回に、よろけた穴口に左ストレートで追い打ち。ダウンを奪い、流れを引き戻した。その後はまさに死闘。接近戦の打ち合いが続いた。5回を終えた公開採点ではリードを許したが、「負けたら全部終わる。世界に行くぞ」という気持ちで力を振り絞り、計4回のダウンを奪って逆転勝ちした。

壮絶な打ち合いを終えた堤の顔は血だらけ。「穴口選手、強いですね。びっくりしました」と言うようにどちらに転んでも不思議ではない試合だった。世界的なビッグマッチの前座に恥じない殴り合いを演じ、「穴口選手の気持ちの強さ、この試合に懸けているなと感じた。それがあってこそ、お客さんを盛り上がった試合ができたと思います」と感謝を述べた。

1000万円を獲得した堤は、大の古着好き。リング上で「1000万円入ると思って、試合前に200万円くらい(古着を)買っちゃったんで」とまさかの告白。「ちゃんと取り戻せて良かったです」と笑った。

WBA3位、IBF4位など主要4団体すべてで世界ランクに入る王者が激闘を制し、世界挑戦も見えてきた。「来年、てっぺん取ります。待ってろ世界」と次なる舞台を見据えた。