ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)-WBC世界同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)戦をメインとした国内初の4大世界戦は6日、東京ドームで開催される。過去最大級と言える今回のビッグイベントには、多くの記録も懸かっている。『ボクシング5・6東京ドーム 34年ぶり祭典』連載第3回は「ドーム興行で期待される主な記録」を紹介する。

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90年2月、マイク・タイソン-ジェームス・ダグラス戦以来となる34年ぶりとなる東京ドームでのボクシング興行。プロモートする大橋ジムの大橋秀行会長(59)が「とてつもない」と表現するイベントで、もっとも期待されるのは、

<1>国内公認の日本所属ジム100人目の世界王者誕生だ。

日本ボクシングコミッション(JBC)が認める世界王者は現在98人。4日にエディオンアリーナ大阪でIBF世界バンタム級王座に挑む西田凌佑(六島)が王座獲得すれば99人目となり、6日の東京ドームで組まれた4大世界戦のうち、最初に世界初挑戦するWBA世界フライ級3位桑原拓(大橋)に100人目のチャンスが巡ってくる。

たとえ西田が獲得できなかった場合でも、桑原が世界奪取で99人目となれば、WBA世界バンタム級王座に挑戦する石田匠(井岡)、セミファイナルでWBO世界バンタム級王座に挑む武居由樹(大橋)が100人目を狙える。東京ドームの大舞台で節目の100人目が誕生する可能性は十分にありそうだ。

続いて大橋ジムには、

<2>同一ジムで世界王者4人同時保持の国内最多タイ記録がかかる。

過去、帝拳ジムで3度達成しており、今回は井上尚弥、拓真兄弟が王座防衛し、桑原、武居が王座獲得となれば一気に現役世界王者が4人となる。4大世界戦で大橋ジムの1番手として登場する桑原は「大橋ジムを日本一のジムにするために勢いづける」とトップバッターの責任感を口にした。

元K-1スーパーバンタム級王者となる武居にとっては、

<3>K-1王者初のボクシング世界王者という記録が懸かる。

過去にムエタイ王者やキックボクシング出身のボクシング世界王者は存在するものの、京太郎らK-1王者の転向組では誰も達成していない。武居は「K-1とボクシングの世界ベルトを並べてみたいですね。誰もやっていないことをやってみたい」と気合十分だ。

もともと同一興行ではトリプル世界戦が最多だった。08年9月、テレビ東京が西岡利晃をメインとした国内トリプル世界戦に木村登勇のウクライナでの世界挑戦を加えた「4大世界戦」として3時間中継したことはあったが、同じ会場で開催する4大世界戦は史上初となる。34年ぶりに実現したボクシングの祭典では「とてつもない」記録が刻まれそうだ。(おわり)【藤中栄二】