前WBC世界ミニマム級王者で現同級1位の重岡優大(27=ワタナベ)がリベンジに失敗し、王座返り咲きはならなかった。同級王者メルビン・ジェルサレム(30=フィリピン)に挑戦したが判定0-3で敗れた。1年前の24年3月、同じ愛知県内で判定負けを喫したジェルサレムとのリマッチで返り討ちされた。

2度のダウンを許してプロ初黒星を喫したジェルサレムとの初対決は「ボクシング人生で1番悔しかったのはあの試合」と言うほど落ち込んだ。それでも2~3日後には胸中でリベンジ魂が燃えさかった。同7月には弟銀次朗もIBF世界同級王座から陥落し、重岡兄弟から世界ベルトが失われた。重岡は「リベンジする瞬間を見ていただけたら。この1年間、何をしてきたのか。どんな気持ちでリングに上がっているのかが見て分かるボクシングをする」との思いを胸に再戦リングに立っていたが、またも敗れてしまった。

1年分の成長をみせるために自身初の海外キャンプを試みた。弟銀次朗や指導を受ける町田主計トレーナーと一時的に離れ、2月に約2週間、単身フィリピンに向かってスパーリング合宿を敢行した。重岡は「数年前の僕だったら1人でフィリピンなんて行きたくないし、いろいろだるいと思うタイプだったけれど、それも全部乗り越えて王者になる」(重岡)。現地のプロ選手と同じメニューで、寝食をともにしながら練習。気温30度以上ある現地のエアコンもないジムでスパーリングを消化し「世界王者になる人たちはボクシングが強いだけではないとキャリアを重ねるごとに思う。新たに飛び込み、こなしてナンボでしょとポジティブな考えた方に変わった」と精神的な成長も実感して挑んだ大舞台だった。

チャレンジャー魂も重岡に火をつけた。23年10月、当時、暫定王者として正規王者パンヤ・プラダブシー(タイ)との団体内統一戦に臨んだ際に感じた挑戦者の気持ちを思い出していた。「1ラウンド、1ラウンドに気持ちがみえる。それが挑戦者の強み。パンヤ戦はその感覚で(昨年の)ジェルサレム戦はその感覚はなかった。そこは学んだところ。気持ち1つだけれど、ボクシングスタイルに出る」。最後まで競り合う姿勢を変えなかったが、勝利をつかむことができなかった。

◆重岡優大(しげおか・ゆうだい)1997年(平9)4月16日生まれ、熊本市出身。空手を経てボクシングを始め、開新高で4冠。拓大進学後、18年に全日本選手権ライトフライ級制覇しアマ5冠に。アマ戦績は81勝10敗。大学3年で中退し、ワタナベジムからプロ転向。19年10月にプロデビュー。21年2月、日本ライトフライ級ユース王座を獲得。同11月、WBOアジア・パシフィック・ミニマム級王座を奪取し、22年11月に日本同級王座、昨年4月、WBC世界同級暫定王座を獲得し、同10月に統一戦を制し正規王者に。家族は両親と姉、弟、妹。身長160センチの左ボクサーファイター。