<女子プロボクシング:GLegend>◇9日◇後楽園ホール◇観衆2005人

 KO決着、病院直行、乱闘寸前の猛抗議…。女子だけのプロボクシングは男顔負けのド迫力だった。日本ボクシングコミッション(JBC)公認後初の女子プロボクシング旗揚げ興行が行われ、メーンのスーパーライト級6回戦では風神ライカ(32=山木)がWBC同級14位ナタリー・ブラウン(29=米国)に2-0の判定勝ちを収めた。判定に不服のブラウンが再戦を要求して乱闘寸前になるシーンも。全10試合中2試合はTKO決着で、想像以上の迫力に、超満員2000人で埋まった会場は大いに盛り上がった。

 男子のボクシングでもめったにない珍しいシーンだった。試合後のライカの会見場に、敗れたブラウンが乱入してきた。「ライカ、リマッチ、リマッチ」と大声で詰め寄る。ライカも負けはいない。「やりたいなら、いつでも受ける」。あわや乱闘寸前。勝負への執着は男顔負けだった。

 JBC公認後初の女子選手だけのプロ興行だった。非公認時代に世界3階級制覇したライカに期待が集まった。序盤はペースを握られたが、後半はカウンターのフックなどでポイントを挽回(ばんかい)した。ジャッジ1人がドロー採点の辛勝。それでも「プレッシャーはあったけど、持っている力は全部出した」と満足げだった。

 会場は2005人の超満員で埋まった。報道陣は200人以上も駆け付けた。世界戦並みの注目度の中、全10試合は想像以上に白熱した。「パンチ力は男子に比べて非力」といわれるが、KO決着も2試合あった。試合後に病院に運ばれる選手まで出た。女子ボクシング委員会の大橋秀行委員長は「今日の大会は90点。お客さんも入ったし、試合も良かった」と今後の女子プロボクシングに手ごたえをつかんだ。