日本相撲協会は1日、東京・両国国技館で理事会を開き、マネジャーの男性に対する傷害罪で起訴された熊ケ谷親方(45=元十両金親)を懲戒解雇処分にすることを決めた。退職金は支給されない。親方の解雇は5例目となった。

 会見した危機管理委員会の宗像紀夫委員長(元東京地検特捜部長)は、<1>傷害事件で逮捕・勾留されて起訴されたこと<2>傷害が全身に及び、かなりの重傷であること<3>金属バットや金づち、すりこぎ棒などで複数回において殴打するという「常軌を逸した行動」であること-などを掲げ、本人が暴行の事実を認める書簡を北の湖理事長(元横綱)らに送っていることや、被害者の供述や被害写真などの物的証拠があることも言明。「必ずしも改悛(かいしゅん)の情が顕著でないと認定した。協会の暴力排除の努力を踏みにじり、協会の名誉を傷つけ、社会的信用を失墜させた」として、厳しい処分を決めた。

 委員長によると熊ケ谷親方は、弁明を聞きに訪れた調査部会に対して、懲戒解雇になれば裁判で争う、という話をしているという。だが、委員長は「調査をきちんとし、反論されて裁判で争うと言われても、きちんと対応できる態勢を取った上で、処分を決めた」ときっぱりとはねのけた。