ケガから復帰し関取としては16年夏場所以来、15場所ぶりとなる本場所の土俵に上がっている東十両13枚目の豊ノ島(35=時津風)が、今場所4敗目(8勝)を喫した。

幕内も含め初顔合わせとなる東十両5枚目で小兵の石浦(28=宮城野)と対戦。左をのぞかせながら踏み込み、圧力をかけて土俵際まで押し込んだ。今場所、十両に降格したが今年は先場所までの全5場所で幕内の土俵を務めた石浦も負けられない。必死に回り込み正対されると頭をつけて、低い体勢で食い下がられた。たまらず引いてしまい墓穴を掘る形となった豊ノ島は、自分より約50キロ軽い石浦に押し出された。

身長では5センチ高い石浦だが、軽量のため重心は低いから「小兵」と感じる。そんな相撲は苦手なようで、第一声から「小兵に(対して)下手ですね。苦手。どうやって取ったらいいか…。自分より小さいのは(対戦相手として)いなかったから」と発した。自分も169センチで身長は“小兵”の部類に入るが「自分より低い位置にいられるのが嫌なんでしょう。(自分から相手の)中に入っていけないし、根こそぎ持って行くタイプでもないし。圧力をかけて一気に持って行こうかとも思ったんだけどね」と反省の弁が口を突いて出てきた。

引いたことも「感覚で引いちゃっている。引くタイミングじゃないってことは、引いてから分かった。持って行かれることもないだろうから、もう少し我慢できた。安易だったかな」と苦手意識が招いた敗因を振り返った。

ただ終わってみれば、ただ一人、2敗でトップを走っていた照強(伊勢ケ浜)が敗れ、トップを走る3敗の4人を、1差で追う展開に変わりはなかった。前日、勝ち越しを決めたことで優勝を狙うことを公言。狙う姿勢はいいが、それまでの「一日一番」の姿勢を忘れて精神的な乱れもあったようだ。「ちょっと意識しちゃったのがね…。まあ明日からノビノビと、今場所は連敗がないから」と気分を入れ替えて残り3番に臨む。