大関高安(29=田子ノ浦)が、苦手の前頭碧山を破り、1敗を守った。碧山には取組前まで幕内で7勝11敗。兄弟子で部屋付きの荒磯親方(元横綱稀勢の里)が「前半戦のヤマ場」と位置づけた難敵との一番を、終始攻めて快勝した。他の3大関が黒星先行や休場と存在感を見せられない中、全勝の鶴竜、白鵬の両横綱を追って初優勝を目指す。

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ふがいない大関陣の中で高安が1人、1敗で気を吐いている。過去7勝11敗と分の悪かった碧山戦の勝因は、立ち合いの当たりから左前まわしを取ったこと。碧山に巻き替えられ上手になったが、初めに前まわしを取り体を密着できたことで、辛抱ができて碧山に突き起こされなかった。このまわしを取れた一連の流れで、体勢が崩れずヒザが曲がった前傾姿勢がとれた。だから回り込まれても密着して前に出られる。もし、まわしを切られて起こされたら、体重が後ろにかかり動けず、後退するばかりだから、これまで碧山に負けた相撲はそんなシーンが多かったのではないかな。全勝の両横綱とは最終盤でぶつかる。勝ちたい勝ちたいでは、肩に力が入ってしまう。優勝経験がないことを逆にプラスに考えて「何かを起こしてやろう」ぐらいの、楽な気持ちで後半戦も臨めばいいのではないか。(日刊スポーツ評論家・高砂浦五郎=元大関朝潮)