両横綱不在の場所で、西前頭4枚目正代(28=時津風)が単独トップに立った。大関経験者の西前頭6枚目栃ノ心を下して、15年秋場所の新十両昇進以降では自身最長となる、初日から6連勝とした。6日目の平幕単独首位は昨年秋場所の隠岐の海以来。出身の熊本で東京五輪の聖火ランナーとして走る予定の関脇経験者が好調だ。大関貴景勝、遠藤ら平幕5人が1敗を守った。

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約3年間三役から遠ざかる正代が、無欲に先頭をひた走っている。右差し、左ははず押しで、栃ノ心にまわしを与えないまま電車道の快勝。「立ち合いが良かった。当たって2歩目、すごく前に出ている」。11勝を挙げた先場所に続く好調ぶり。単独トップに立ったが「緊張しますね。まあ1敗もたくさんいるから」と、人ごとのように笑った。

「すごい調子がいいってわけじゃない…なんで連勝しているんだろ」と首をかしげる。年末年始は熊本・宇土市の実家に帰省して1週間滞在。「ぐうたらしてたら太りました」と、普段165キロ前後の体重は170キロ近くまで増えた。「いいボディーバランスなのかも。それが(好調の)原因だったら怖いですね」。

その熊本で、郷土力士として東京五輪の聖火ランナーを務める予定だ。場所が終われば、必ずと言っていいほど実家に帰省するほど地元愛は強い。「光栄なことですよね」と、素直に喜んだ。五輪競技に相撲はないが、ユーチューブで視聴することも多いボクシングに注目する。16年のリオ五輪にライト級で出場した成松大介(自衛隊)は熊本農高、東京農大でともに2学年上。「大学の時に面識がある。すごいですよね」。東京五輪のボクシング会場は国技館。身近な存在に刺激を受けながら、五輪前に同じ会場で大暴れしている。

昨年は同じ大卒で自身より若い朝乃山が初優勝を果たし、発奮材料となっている。昨年12月の冬巡業では「朝乃山関や若い子がでてきているので、僕も負けないように頑張りたい」と発言するなど、燃える対抗意識を隠さない。今年の目標は三役に戻ること。「まだまだ前半戦。何も考えてません」。年始に引いたおみくじは末吉だったが、現状の視界は良好だ。【佐藤礼征】