新型コロナウイルスの影響を受けて、日本相撲協会は大相撲夏場所の中止を決めた。また毎年7月に名古屋市で開催されてきた名古屋場所の会場を、東京・両国国技館に移し無観客開催を目指す方針を示した。今回の決定について、好角家で漫画家のやくみつる氏(61)に率直な意見を聞いた。今後、角界に望むのは「稽古」と「SNS」の解禁だ。

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今回ばかりは中止でしょうがない。無観客で開催した春場所の時より、状況は厳しい。それに角界から感染者が出てしまったことよりも、協会が出稽古を禁止し、ぶつかり稽古の自粛を推奨している状況が相当深刻だ。力士らは感覚を確かめられないままでは、ファンに相撲は見せられない。みっともない相撲になってしまう。もし開催してしまっていたら、これまでの稽古を否定することになってしまったと思う。

相撲協会は7月場所の会場を東京に変更し、無観客開催を目指す方針を示した。もし開催するというのならば、それに伴い通常通りの稽古再開のGOサインを出すべき。現段階では7月19日が初日。本場所に向けて仕上げる時間を考えると、遅くとも6月末までには通常通りの稽古を解禁したい。制限された稽古では、なかなか身にならない。

力士らの住環境は、実際どうなっているのでしょうか? 一番の「密」は寝るスペースだと思う。頭と足を互い違いにすればいいという話ではない。ほとんどの相撲部屋に関取用の個室があるが、その部屋を使用するなどして分散する方法はあると思う。稽古内容を見直すことも大事だが、少しでも大部屋の環境を緩和することも大事だ。

そういった力士らの生活や現在の情報というのが、世の中に伝えられていない。数場所前に阿炎関の投稿が問題となり、個人のSNSの使用が禁止となったが、この際、解禁してもいいのではと思う。夏場所が中止になったのならばなおさら。多くのファンが角界の情報を欲しがっている。

相撲ファンとしては、1場所空くだけでもモヤモヤして暴れたくなる。いまだ開幕できていないプロ野球の場合、昔の映像を放送しているテレビ局もある。「相撲も頼みますよ」という気持ちはある。