西前頭8枚目の千代大龍(31=九重)が、珍現象に苦笑いした。右で張って左を差して一気に寄ったが、土俵際で玉鷲の小手投げをくらった。

ほぼ同時に土俵を割り、軍配は玉鷲。しかし、物言いがついて協議が始まった。

思いも寄らぬ出来事が起こったのはここから。今場所は新型コロナウイルスの影響により、審判の親方衆が土俵上に集まる際、通常よりも1歩分ほどの距離を取って協議をする。その分、親方衆の声はいつもより大きくなる。「審判の声が丸聞こえでした。『千代大龍の方が早く…』って3回ぐらい聞こえたから、その時点で負けだと思って『よし明日頑張ろう』と思った」と協議の結果がアナウンスされる前に気持ちの整理がついたという。加えて「お客さんもいないから、(審判の)声が響いていた」と、“ソーシャルディスタンス物言い”を振り返った。