大関照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が優勝に王手をかけた。モンゴルの同郷で西前頭6枚目の逸ノ城を万全の右四つで退けた。1差で追っていた大関貴景勝が3敗目を喫したため、後続との差は2差に広がった。14日目に照ノ富士が遠藤を下せば2場所連続4度目、昭和以降では初の快挙となる、大関復帰場所での優勝が決まる。3敗は貴景勝、遠藤の2人となった。

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自分の形になれば、200キロの巨漢もあっさり持っていく。立ち合いで右四つに組んだ照ノ富士は、かいなを返して逸ノ城の上体を起こすと、難なく左上手もつかんだ。相手が関取最重量でも関係なし。「自分の相撲を取りきることだけ考えました」。一気に寄り切って12勝目。結びで貴景勝が3敗目を喫したため、14日目で勝てば優勝が決まる状況となった。

逸ノ城とは16年夏場所以来5年ぶりの対戦だった。2人はモンゴルから同じ飛行機に乗って来日した間柄。過去には2場所連続で水入りとなる熱戦を繰り広げたが、大関に返り咲いた今場所は格の違いを見せつけた。

初日から1度も首位の座を譲らず、優勝に王手がかかった。鳥取城北高時代の恩師で同校相撲部コーチのレンツェンドルジ・ガントゥクス氏(36)は、テレビ越しで今場所の照ノ富士の活躍を見守る。初日前日の8日には、本人と連絡を取って激励した。「『(両)膝は相変わらず良くもならないけど、変わらずしっかり稽古してます』と言っていた。大関に戻って感動したし、男だなと思う」と、古傷と戦い続ける教え子の“カムバック”に喜び。周囲が期待する大関“復帰V”は目前に迫っている。

14日目に対戦する遠藤とは、幕内復帰した昨年から2戦2勝。「最後まで力を出し切って頑張りたい」。過去3度の優勝は全て関脇以下。大関として初めての優勝を果たし、綱とり挑戦の切符をつかむ。【佐藤礼征】